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小説レビュー数 3,321件
迷宮入りになった歴史的事件をモデルにした大作
迷宮入りした大手食料品メーカーへの脅迫事件をモデルにしたミステリー1984年から1985年にかけて起こった、江崎グリコの社長の誘拐や毒入り菓子が店頭に並べられるといった無差別テロをはじめ、他の食品メーカーへの脅迫にまで及んだ事件ある。防犯カメラの映像をはじめとする、犯人の特徴を示すものはあるにもかかわらず、なかな...この感想を読む
死にまつわる厳しくも幻想的な話
暗喩表現の技巧身も蓋もない言い方をすると、本作は人が死ぬパラレルワールドをひたすら見せられる話だ。陰鬱とした空気は常につきまとっているが、蝶や花、星といったメルヘンチックなモチーフを全編でキーポジションに配置することで、悲惨な物語もどこか美しいものに映る。第三章、夫を亡くした妻がその死因を察したシーンでは...この感想を読む
うしろ読みって楽しさを存分に味わえるプレミアム
おとぎ話、本当に恐ろしいのはだあれ?斎藤美奈子さんには1日が何時間あるのだろうか…と考えずにはいられないほどの圧倒的な読書量。それに加えて、書評も書く、評論も書く。もう、参りましたという言葉しか出てこない。あっぱれだ。私の大好きな「名作うしろ読み」にプレミアムが出たと知った時は「ひゃっほー」と小躍りして喜ん...この感想を読む
生態系を壊しながらも仲間を求める悲しいナイルパーチ
女子会に参加できない女子の居場所は この小説はどこに向かって行くのだろうかと、膨らんでゆく不安を感じながら読んだ。あてが外れた、というわけではないが、もう少し穏やかな、仲の良かった二人の女性が、何かしら感情のもつれがあって離れてしまい…といったゆるやかなストーリーを想像していたので、予想を裏切るストーリー...この感想を読む
少年期の全能感の尊さ
少年性の崇拝子供らしく生意気ながらも心根が真っ直ぐで、悪い言い方をするなら愚直な、そんな小学生たちの目線で物語は進む。チンピラに嫌悪感を示しながらもそれに屈することを仕方ないと割り切る太一は、主人公グループの中で最も現実的(考え方がシビアというのではなくより非創作的という意味で)な性格の少年だ。自分自身の...この感想を読む
華やかな世界の影の仕事人
スカウトとしての生き方プロ野球のスカウトの仕事というものは戦争らしい。お互い、やるかやられるかだ。カリスマスカウト、堂神ことガミさん。しびれたわー。この小説に出会うまで、スカウトの仕事を舐めていたところがあった。プロ野球選手をクビになった人のための温情だとさえ思っていた。もう、随分前のことになるが、ある球...この感想を読む
決して諦めない男
悲惨な駿府時代富樫倫太郎の軍配者シリーズで、早雲の軍配者、謙信の軍配者を読んだ後に、最期に、この作品を読みました。これで完結です。テーマは、「決して諦めない」ことだと思いました。四郎佐は、齢が当時の高齢者である四十歳を過ぎても、どんなに自分が醜悪な顔になっても、体が不自由になっても、決して一流の軍配者にな...この感想を読む
ふんわりテイストながらもテーマはシビアな料金小説
食材を重んじる心主人公・倫子は料理を神聖なものとして経緯を持って扱っているが、料理作中においてその敬意は調理工程と完成品だけでなく、食材にも払われている。食事をすることは命をいただくこと、とは筆者も小学生の時に何度も聞かされたことだが、本書では改めて主人公がそのことに向き合っている。畑から取れた赤カブの味...この感想を読む
名作の最後の一文を知って驚くなかれ
新しい読書の楽しみ方おお!何て画期的な試みなんだ。そしてセンスのいいチョイス。そう、『雪国』や『走れメロス』の冒頭は読書好きなら誰でも知っているだろう。しかも、内容も大体の流れを語ることができる。しかし、最後の一文って何?って聞かれると首を傾げてしまう。そこに目をつけた斎藤美奈子さん、いや企画したのは読売...この感想を読む
一見陰惨なミステリーと思い切や、ドタバタコメディ的作品
とにかく登場人物か「濃い」内田康夫氏の作品は、個々のミステリーでも比較的キャラの性格付けがしっかりされていて、特に浅見シリーズではヒロインの個性や、出てくる地方の刑事の個性のインパクトが強い。非常に印象に残るキャラもいるせいか、他の作品にも登場するキャラも多く、作品同士で相関があったりするのも面白い。「耳...この感想を読む
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