キャッチャー・イン・ザ・ライのあらすじ・作品解説
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」は1951年にJ・D・サリンジャーによって書かれた小説である。 日本語訳のタイトルはいくつかあるが、主に「ライ麦畑でつかまえて」という題で広く知られている。 戦争が終わった後のアメリカが舞台で、主人公のホールデン・コールフィールドが成績不振によってペンシルヴァニアの学校を退学させられてしまう。以前にも2つの学校で退学処分を受けており、今回が3校目の退学であった。そのことをきっかけにホールデンは寮を飛び出し、実家のあるニューヨークへ戻ろうとする。そんな彼の放浪してから実家に帰るまでの3日間を描いた話である。 原題の「The Catcher in the Rye」はロバート・バーンズが作った詩であり、作中で子供たちが歌っている。 主人公の「ライ麦畑で遊んでいて崖から落ちそうになった子供を助ける人間になりたい」という思いが作品の主題になっている。 本小説は、世界各国で翻訳され、累計発行部数6000万部の大ベストセラーになったほか、映画やアニメなどにたびたび作品自体が登場する。
キャッチャー・イン・ザ・ライの評価
キャッチャー・イン・ザ・ライの感想
不可思議な作品
伝説的でなぜか奇妙なんだけど惹きつけられてしまう、カルト的な魅力があるサリンジャーの作品です。村上春樹訳のこの版では「キャッチャー・イン・ザ・ライ」という名前ですが、「ライ麦畑でつかまえて」という邦訳のほうが有名かもしれません。まぁ、キャッチャー・イン・ザ・ライの方がかっこいいとおもいますけど。かなりこの作品は評価が別れると思います。嫌いな人は2,3ページ読んで嫌悪するのではないでしょうか。しかし、それこそサリンジャーの意図しているところではないかとも感じます。村上春樹の訳も中々軽妙であっている気がします。まぁ、とりあえず一度読んでみて各々評価して欲しい作品です。
若者にこそ読んで欲しい作品
村上春樹の訳は簡潔な日本語で書かれている美しい作品に仕上がっていると思います。本書のストーリーは変わらないのですが、訳によってこんな風に作品の趣が違ってくるものかと思いました。村上さんのほうは他のアメリカ文学の翻訳も手がけていますが、かわいた文体が内容によく合っていると感じました。本書の主人公と同じように悩み、考え、行動していたに違いないだろうから。だから、本書は、人生の本当の意味でのはじまりの時期、多感で心が瑞々しい時期にこそ読んで欲しい。オヤジ臭いいい方をすれば、皆、そういう時期を経験して、自分というものを見いだしていくのだ。逆に言えば、それだけ自分が錆び付いてしまったのだろうけど。
村上春樹訳も読んでみたい
サリンジャーの作品では、有名な割には大した内容でないと言われたキャッチャー・イン・ザ・ライ。高校生の頃は、題名だけで読んでみたくなる小説であるでしたが、当時は内容が問題があるということで、無事高校を卒業するまでは、読むのはやめようと思った記憶があります。大学に進学してからもためらいがあったのですが、いつか忘れた頃に日本語翻訳を読み、期待した程反社会的で恐ろしい内容ではなかったで、安心しました。サリンジャー独得の不良少年の視点から、周りの大人や家族、友達をこき下ろしながら、突っ走っていく感覚が、何回読んでも爽快で印象深い作品だと、大学生になったある夏の日に思えるようになり、大人になった自分に感謝しています。