わかりませんよ。 もって生まれた自分の性分で 精一杯生きるほか、 人間仕方がないのではないでしょうか。
沖田総司
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「燃えよ剣」は、1962年から1964年にかけて、週刊文春に連載された司馬遼太郎の長編歴史小説である。単行本としては新潮社から上下巻、文庫本としては新潮文庫から上下巻が刊行されている。 新撰組・土方歳三の生涯を扱っており、薬屋の行商をしていた若い頃、新撰組の副長として近藤勇の裏方となっていた時代から、洋式軍隊の士官となり、函館戦争で戦死するまでを描いている。 本作品をもとに多くの映画やテレビ・ドラマが生まれており、1966年の松竹映画では栗塚旭が土方歳三役を演じ、同年のテレビ東京によるドラマでは、土方歳三役を内田良平、沖田総司役を杉良太郎が熱演している。その後、1970年のテレビ朝日によるドラマでは、土方歳三役を栗塚旭が再び演じ、1990年のテレビ東京によるドラマでは、役所広司が土方歳三役を見事に演じている。 また、2004年の明治座の舞台では、土方歳三役を上川隆也、近藤勇役を風間杜夫が演じるなど、数々の映画・テレビドラマ・舞台の原作となっている作品である。
司馬遼太郎の「燃えよ剣」、上・下巻あわせてのレビューです。かつて新選組と言えば、鞍馬天狗の敵役。近藤勇は、芝居や講談で有名な「今宵の虎徹は血に飢えている」という名文句の豪傑然としたイメージの人物だ。沖田総司は、結核を病む薄幸の美剣士。そして、最も損な役回りだったのが、策謀をめぐらす冷酷非情な軍師・土方歳三であったと思う。その土方が、今日、一躍理想の男性像として受け止められるようになったのは、ひとえに司馬遼太郎の「燃えよ剣」のおかげではないかと思う。この作品で土方は、武州多摩の田舎剣客から身を起こし、風雲急を告げる京洛の巷に、甲州勝沼に、あるいは北の果て函館に、落日の徳川家に殉じ、果敢に散っていった男として、実に魅力的に描かれていると思う。そして、同時に彼が取らざるを得なかった"非情な行動"は、頑なまでに徳川家への、いや滅びゆくものへの節義を守るため、自らに"鉄の掟"を課した男のロマンとして...この感想を読む
新選組副長土方歳三の一生と新選組を綴った物語です。戦国時代の武士VS武士の覇権争いとは違い、江戸幕府末期に起こった争いの構図は武士VS庶民や下級武士という面もあると思います。今までは決して逆らうことのできなかった上級武士達に対しての不満が爆発し、士農工商という絶対的だった身分制度を覆してやろうと立ち上がった人達も多かったのではないでしょうか。そんな中、新選組の中心的存在である土方歳三や近藤勇は農民という身分で武士階級に叛旗を翻していくのではなく、あくまでもあこがれである武士になろうと励んでいく姿が切なくもあり面白くも感じました。土方歳三は新選組において隊士の細かな心情やちょっとした心の移り変わりなどを鋭く読み取る鬼副長として描かれているにもかかわらず、倒れ行く江戸幕府や終焉を迎えるであろう武士の世といった大きな時代の変化には目を向けることなく、一心に武士になろうとする姿勢が無邪気にも感...この感想を読む
新選組の鬼の副長、土方歳三を主人公に据え、物語は進む。武蔵の国のバラガキだった、トシが、新選組を立ち上げ、作り上げて行く。新選組といえば、官軍に逆らった謀反軍であるために、それまでは取り上げられる機会も少なかったのが、この燃えよ剣発表後は一変したといいます。また、おおらかな局長近藤、鬼の副長土方、薄幸の美少年剣士沖田など、個々の隊士の印象を燃えよ剣が印象付けたと言われるぐらい。新選組関連の創作は数あれど、やはり燃えよ剣を読まずには語れないでしょう。司馬氏の筆致は、まるで彼らがそこにいるかのような気分を味わえます。男の信念というべきか、本当にかっこいい彼らがそこにいます。組織論として読むのも面白いのではないでしょうか。とにもかくにも、おすすめできる一作です。
沖田総司
肺結核を患っている沖田総司が土方歳三に言った一言
土方歳三
大政奉還後、情勢が完全に劣勢になった新選組の中で、これからどうすると聞く沖田に土方がどうするとは男の考え方ではない、と答えた後の言葉。
土方歳三
激動の幕末、どんどん味方が敵に寝返る中で、最後まで戦いぬこうと己の生き様を旧知の沖田総司に話しているシーン。