三四郎のあらすじ/作品解説

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小説レビュー数 3,368件

三四郎

4.174.17
文章力
4.58
ストーリー
4.33
キャラクター
4.25
設定
4.25
演出
4.17
感想数
6
読んだ人
9

三四郎のあらすじ・作品解説

三四郎は夏目漱石の長編小説である。「それから」「門」へと続く漱石の前期3部作の一つ。舞台は20世紀初頭の東京。上京した主人公が、これまでと全く異なる環境で様々な体験をする様子を描いているが、そこには当時の日本に対する漱石の鋭い批判も込められている。 九州の田舎で育った主人公は熊本の学校を卒業後、大学進学のために上京する。東京に向かう道中、京都から乗車してきた女性と知り合いになるのだが、この女性と名古屋で一晩過ごす際に、宿の手違いで女性と同じ布団で寝ることになってしまう。あれこれ考え、何とか同じ布団で寝なくても済む工夫をして夜を明かす。翌朝、駅で別れる時に女性は、「いろいろやっかいになりまして、・・・ではごきげんよう」と丁寧にお辞儀をしてきた。彼も別れの挨拶を返すと、女性は落ち着いた様子で「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と言ってにやりと笑った。主人公はこの出来事に面食らうのだが、これは彼がこれから体験する東京という新しい世界での出来事の予兆のようなものなのだった。

三四郎の評価

総合評価
4.174.17
(6件)
文章力
4.584.58
ストーリー
4.334.33
キャラクター
4.254.25
設定
4.254.25
演出
4.174.17

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三四郎の感想

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人間として真の自我に目覚め、他の存在を尊敬すると同時に、自分の存在を尊敬するという生き方を説く夏目漱石の「三四郎」

夏目漱石の中期の写実主義的な小説「三四郎」を久しぶりに再読し、「三四郎」だけでは何か消化不良の感が否めず、講演録の「私の個人主義」へと読み進めました。このレビューでは、「三四郎」についての読後感を述べてみます。この小説「三四郎」のテーマは、青年の自我意識の問題を取り上げて、漱石が言うところの"他本位"と"自己本位"への時代の繰り返しがあって、初めて世の中が進歩するという立場からの、一つの時代にとどまらず、長い時代を見通した上での文明批判を述べた小説だと思います。この漱石の思想が最も色濃く描かれている場面の、『すると広田先生がまた話し出した。-----「近ごろの青年はわれわれの時代の青年と違って自我の意識が強すぎていけない。われわれの書生をしているころには、する事なす事ひとつとして他を離れた事はなかった。すべてが、君とか、親とか、国とか、社会とか、みんな他本位であった。それを一口にいうと教育を受け...この感想を読む

5.05.0
  • dreamerdreamer
  • 204view
  • 2044文字
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三四郎の登場キャラクター

佐々木与次郎

よみがな:ささきよじろう

三四郎の名言

生きてる頭を、死んだ講義で封じ込めちゃ、助からない。外へ出て風を入れるのさ。

佐々木与次郎

物足りない現状に思い悩む主人公を友人が外に連れ出す。

二十前後の同じ年の男女を二人並べてみろ。女のほうが万事上手だあね。男は馬鹿にされるばかりだ。女だって、自分の軽蔑する男の所へ嫁へ行く気は出ないやね。

佐々木与次郎

マドンナ美禰子に想いを寄せる三四郎に対し、友人の与次郎が、あきらめるように諭したときの一言。

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