愛されているという幻想を棄てようとする壮絶さ
ケヴィンが何故あんなことをしたのか、誰にも分からないのかもしれないこれの映画を随分前に観た。何故ケヴィンが、あんなことをしたのか、最後まで分からなくて、消化不良気味だったのが、後に原作の小説があると知り、ここにならその答えがあるかと思い読んでみたら、やはりなかった。映画を観たときは、心の揺れや葛藤を描く手間を惜しんで、生まれたときからすでにケヴィンが化け物だったかのように安易に仕立てのではないかと思ったものの、原作もエヴァが亡き夫に手紙をつづっている形になっていて、結局のところ、推測や想像はできても、本当のところは分からず、その点、忠実に映画は作られていた。まあ、美少年を売りにしていたあたりは、商業的だったのだろう。小説を読んだ印象では、映画での彼の顔と重なることはなかった。ともあれ、原作者のライオネルもあとがきで、ケヴィンが生まれつき悪魔的だったのか、母親の育て方が悪かったのか、読者...この感想を読む
4.54.5
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