少年期の全能感の尊さ
少年性の崇拝子供らしく生意気ながらも心根が真っ直ぐで、悪い言い方をするなら愚直な、そんな小学生たちの目線で物語は進む。チンピラに嫌悪感を示しながらもそれに屈することを仕方ないと割り切る太一は、主人公グループの中で最も現実的(考え方がシビアというのではなくより非創作的という意味で)な性格の少年だ。自分自身の子供時代を振り返ってみると、幼いながらもどこかしらには子供らしくないひねくれた思考があったものだ。本のタイトルにもなっている鉄人は、その点ファンタジーな存在だといえる。いつでも元気が良く、身の程を知らないから何事にも臆することがなく、努力で何でも可能になると信じている。子供の良いところだけを抽出し凝固した存在、といっていい。加えて寛大さもあり、人を気遣いつつもそれを負担に思わせない様は、父性にも似たものを感じさせる。この鉄人は、まさに大人と子供の良いとこ取りをした存在であり、作者が彼を...この感想を読む
4.54.5
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