世界最高の犯罪学者と言われた、リンカーン・ライムの頭脳が冴え渡る「ボーン・コレクター」
空港からニューヨークに市内に向かうタクシーに乗った白人男女の客が行方不明になる。匿名の通報者によって、男性が生き埋めにされて死んでいるのが発見されることに。男性の指からは、肉が削ぎ落とされ、女性がしていたダイヤモンドのリングがはまっていた。その死体を発見したのは、警邏課のアメリア・サックス。
そして死体が発見されたその日、2人の警察官が、報告書を持ってリンカーン・ライムの元を訪れる。それはニューヨーク市警殺人課刑事・ロン・セリットーと若手の刑事・ジェリー・バンクス。リンカーン・ライムはかつて、ニューヨーク市警の科学捜査本部長であり、世界最高の犯罪学者と言われた人物。ロン・セリットーとも7年間もの間一緒に捜査をしていたのだ。しかし、現場鑑識をしていて事故に遭い、現在は四肢麻痺のために、頭部と左手の薬指しか動かせない状態なのだ。ライムの寝室は捜査本部となり、ライムは「ボーン・コレクター」を追うことに----------。
ライム自身は全く体を動かせないので、安楽椅子探偵状態。安楽死に焦がれながらも、なかなか目的を果たせずにいるのだ。しかし、かつての同僚が知恵を借りに来たのをきっかけに、世界最高の犯罪学者だったという彼の頭脳が働き始めることに。
そして、彼の目となり足となって動くのは、モデルをしていたこともあるという美貌のアメリア・サックス。証拠が全てというライムは、アメリアにもかなりの過酷な要求を突きつける。細かい鑑識の方法については、とても面白かったし、例えば足跡を判別するために、靴に輪ゴムをかけることなども非常に興味深かった。しかし、突然鑑識をやらされたアメリアは、とても気の毒でしたが--------。登場人物たちが、それぞれにいい味を出しているのだが、その中でも介護人のトムがいいですね。ライムがトムを気に入っているという理由にも納得できます。
金曜日午後10時30分から月曜日午後10時までの物語ということで、スピード感もたっぷり。「未詳823号」というデータシートが、少しずつ埋まっていく様が面白いですね。そして、プロファイリングによって、犯人像が徐々に明らかになっていく様子は、トマス・ハリスの「羊たちの沈黙」を彷彿とさせるものがある。ライム対ボーンコレクターという図式も、まるでクラリスとレクター博士のようだ。
ボーン・コレクターは、わざと手がかりを残すことによって、これ見よがしにライムを挑発していくのだ。これで犯人にレクター博士並の存在感があれば、言うことはなかったのですが----------。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)