十年後の今月今夜も、僕の涙で月を曇らせてみせるから、月が曇ったならば、貫一はどこかでお前を恨んで今夜のように泣いてると思うがいい
間貫一
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貫一お宮の悲しき恋全国有数の温泉地・熱海にある有名な貫一お宮の像は、『金色夜叉』を読んだことのない人もよく知っていることだろう。「(前約)月が……曇つたらば、宮さん、貫一は何処かでお前を恨んで、今夜のやうに泣いてゐると思つてくれ」と間貫一が、泣いてすがるお宮を蹴り、別れを告げた重要なシーンをモチーフにした像だ。『金色夜叉』は、金と愛に翻弄された男女の悲しい恋を描いた作品である。お宮に一方的に別れを告げられた貫一は、以降冷酷非情の高利貸しとなって生きていく。一方、お宮は貫一を裏切る形で資産家の富山唯継と結婚するが、決して幸せではない人生を送り、その心にはいまだに貫一への未練が残っている。なぜお宮が貫一を振って富山に嫁いだのか、理由は明らかになっていない。作者・尾崎紅葉が、未完のままこの世を去ってしまったためである。尾崎紅葉の急逝以降、様々な文学者や研究者が『金色夜叉』の本旨を読み解こうと...この感想を読む
間貫一
恋人同士だった貫一とお宮が別れる時に、貫一が自分がどれほど愛していたかを伝える場面