”人間の趣味がいい”って、最高に悪趣味じゃない?
蜷川智
理解が深まる小説レビューサイト
小説レビュー数 3,368件
19歳の綿矢りさ。小説が好きな方なら知らない人はいないでしょう。世間が湧きましたね。昨年の芥川賞である「火花」が売り上げ最多記録を余裕で抜きましたが、文藝春秋の売り上げ最多記録はこの「蹴りたい背中」と「蛇にピアス」が載った号が未だに歴代一位を獲得しています。綿矢りさ先生が19歳、金原ひとみ先生は20歳。現代小説の新しいステージが始まったと多くの大御所作家たち、または書評家の方が口にしています。それだけセンセーショナルで、歴史ある小説の世界で一つの目印をつけた作品がこの「蹴りたい背中」です。19歳とまだ大人へ踏み込む前だからこそ作ることのできた小説だと私は思います。垢にまみれず、若者だからこそ見える世界での、大人にはわからない感情、感覚、感性。全てが揃っていると思います。蹴りたい、けど、蹴る資格がない。クラスのあぶれ者である主人公は、1人でも平気よ、と髪をなびかせ、悠々と学生生活を送っていました。...この感想を読む
いまいちだった点思春期のための、思春期時代を描いた小説であるため、数年後見返すと面白みを感じることが難しいです。主人公ヒロインである長谷川の友達である小倉という女の子がいますが、登場人物として出すのであれば、もう少しキャラを強めに出すか魅力的に描いてほしかったです。なぜならただでさえ疎遠になりつつあるという人物であるのに、出すほどの重要人物だったのか?という思いが出てくるからです。もしかしたら異色な主人公と対極にいる人物として、あえて出したかったのかもしれませんが、それならば、何故対極の二人がとっても仲良しなのかが不思議です。それを納得させるだけのエピソードは少なくともなかったように思います。一つ一つのシーンで濃厚で生々しい文章を使うのに、ほかの登場人物たちとの出会いは少し印象が薄いです。たまに本当はどこを強調したいのかな?と思うこともあります。良かったところ思春期真っ盛りの小説である...この感想を読む
主人公に共感できるか?「蹴りたい背中」は、芥川賞を最年少で受賞した19歳の作家・綿矢りさの作品。若い彼女が、自分と年代の近い女子高校生を主人公とした世界観が描かれています。主人公のハツから見た現実が、細やかな描写と独自の書き方によって、心の動きや考えている事が身近に感じられ、まるですぐ側に主人公がいるような感覚になる作品です。あまり展開は無いけれど、人の心を覗き見しているように、読み進んでいくのではないでしょうか?しかし、主人公の言葉は、単なる愚痴とコンプレックスを見せつけられているだけなので、不快に感じます。何も自分では行動を起こさないのに、客観的に他人や物事を見て、批判したりいじけたりするハツの姿は、主人公にふさわしい登場人物なのかと、疑問を感じました。そんなハツに対して先輩の台詞「あんたの目、いつも鋭そうに光っているのに、本当は何も見えてないんだね」という言葉は、ハツに対して唯一ス...この感想を読む
蜷川智
主人公の女の子(ハツ)が、自分に友達が少ない理由を「わたし人間の趣味いい方だから、幼稚な人としゃべるの辛い」と言ったことに対し、にな川に言い返された一言。
長谷川初実
蜷川(主人公の仲間)に、自分がなぜ陸上部に入ったのか語ったシーン。