ハードボイルド・エッグの評価
ハードボイルド・エッグの感想
荻原浩の書くハードボイルドストーリー
ハードボイルドにも色々ある個人的にはハードボイルドは好きだ。あのわざとらしいセリフや生き方にこだわりぬいたスタイル、いかにもそれっぽい食事や酒などぞくぞくするものも多い。村上春樹の描くハードボイルド的文章も好きだ。セリフからなにから、ページのどこを開いても満足させてくれるそれは、他にはないものだと思う。タイトルはなにか忘れたけれど、日本のハードボイルド小説を読んだことがある。始まり方は悪くなかったものの、主人公がまるっきり格好よくなかった上に、だんだん文章そのものにも加齢臭が漂ってくるような感じがして、途中でギブアップしてしまった。だからハードボイルドであればいいというわけではない。この「ハードボイルドエッグ」は、ハードボイルド的表現も楽しみつつ、荻原浩らしい切なさや温かみも感じることができる。設定に時々村上春樹の小説を感じたり、もちろん本家であるレイモンド・チャンドラーの小説を彷彿と...この感想を読む
似非ハードボイルド小説
ただの好みの問題だと思う。あまり楽しめなかった。裏表紙に【読むときの注意点】1・笑いじわに気をつけること。2・ぼろぼろ泣けるから、人のいるところでは読まないこと。とあったので、期待し過ぎてしまったのかも。くすっとなった箇所はあっても、泣ける箇所は無かった。設定はよくできていて、今で言う厨二のような。フィリップ・マーロウに憧れて、徹底的に彼のように振る舞う主人公の描写はよくできていたし、その振る舞いが終始すべりっぱなしという設定は巧いし、それを考えると「ハードボイルド・エッグ」というタイトルのネーミングセンスは素晴らしいな、とも思う。でも秘書の女性は最後まで好きになれなかったし、ミステリーとして見た時にどうしても物足りなさを感じてしまう。そもそもミステリーとしての面白さを求めるのが間違っているのかもしれないけれど、もう少し何かあればなぁ、と。