荻原浩らしさてんこもりのハートウォーミングストーリー
借金を背負って誘拐を企てたもののこの作品は、借金を背負ってにっちもさっちも行かなくなってしまった男、秀吉が自殺を試みようとする場面から始まる。首吊りにしようと枝を選ぶも、枝が折れるかもしれないと言い訳をして止め、飛び降りにしようと思うも、足が痛くなってこれ以上飛べないと止め、いろいろしているところはまるでコントのようなテンポのよさで、笑ってしまうところだ。結局自殺する勇気もなく、どうするか途方にくれているところ、自分の車で子供が寝ている。そこでこの男の子を誘拐することを秀吉は思いつくのだ。この短絡思考のところもなんとも秀吉らしい。刑務所にいるときに知り合った男が絶対捕まらない誘拐の仕方を聞いていた秀吉は、この子供が神様からのプレゼントのように思う。でも実はこの男の子、ヤクザの息子だったという展開は、いかにも荻原浩らしいユーモアとセンスにあふれていて、ページを繰る手が止まらなかった。ヤク...この感想を読む
4.04.0
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