いかにも荻原浩らしい短編集
温かさと切なさとかっこ悪さと荻原浩の作品は色々あるけれど、特に短編にはこの「温かさ・かっこ悪さ・切なさ」がいつもあると思う。そして読み終わった後にすこし笑いが残るようなほのぼの感も忘れてはいけない。長編ではそういう話ばかりではないけれど(「千年樹」は本当に荻原浩が書いたのか疑いたくなるトラウマレベルの作品だったし)、短編では特にこの傾向が強い。そしてそれらをきっちりまとめてくる。その心地よさと面白さは、荻原浩の右に出るものはいないといっても過言ではないと思う。この「家族写真」は全部で7つの短編が収められている。タイトルにもなっている「家族写真」も含め、全てが家族をテーマにした短編ばかりだ。中には笑えない暗さや哀しさを備えたものもあるし、かっこ悪いのだけどなぜか心温められたりする話もある。そしてこの物語全部が「温かさ・かっこ悪さ・切なさ」に満ち満ちている。きっとこの手の話は荻原浩得意技な...この感想を読む
3.53.5
PICKUP