サラリーマンも悪くないと思える長編小説
好感が持てる主人公の勢いのよさ主人公である佐倉凉平は、誰もが知る大手広告代理店をトラブル沙汰で辞め、まったく畑違いの「珠川食品」に再就職する。そこからのドタバタ劇が荻原浩らしいコミカルさと温かさで描かれているサラリーマン奮闘記だ。サラリーマンのそういった小説は他にも読んだことがあるのだけど、大体がおっさん臭く、はたまたどれほど努力と知識とトンチが必要かといったいわば出世するための“ハウツーもの”的な印象のものが多く(特に銀行が舞台だとそういうのが多かった)、途中で放りだすことが多かったけれども、今回読んだ「神様からのひと言」はコミカルながらもリアルで、説教臭くなくとも身につまされるところも多く、読み応えのある作品だった。また荻原浩自身が広告代理店経験者ということもあり、プレゼンの描写や相手を説得するコツのような場面も想像しやすく描かれており、文章を読んで頭にすぐ映像で浮かぶ。その上会議...この感想を読む
3.03.0
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