ライ麦畑のつかまえ役、そういうものに僕はなりたいんだよ。馬鹿げていることは知ってるよ。でも、ほんとになりたいものといったら、それしかないね。馬鹿げていることは知ってるけどさ
ホールデン・コールフィールド
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ライ麦畑でつかまえては、1951年に発表されたJ・D・サリンジャー(ジェローム・デイヴィット・サリンジャー)の小説である。 原題はTheChtcherintheRye。大戦後まもないアメリカの物質的繁栄社会を舞台に、多感な少年のやり場のない苛立ちがストーリーの根幹となっている。 本作は成績不振で退学を余儀なくされた少年が実家に帰るまでの3日間が描かれている。加えて、主人公である少年の視点から見た、大人達の欺瞞に満ちた社会を非難ないし皮肉った文体であることから、発表当時から青春小説として分類されている。アメリカ国内のみならず世界各国で版が重ねられており、特に若い世代を中心に世代をこえて愛読されている。また、ジョン・レノンを射殺した犯人が愛読していたことでも知られている。 サリンジャーの意向により、本作の映画化等の企画は全て却下され、実現に至っていない。ただし、数多くのメディア作品が本作をモチーフにし、作中のセリフ等が引用されている。
ホールデン・コールフィールドのわかりすぎる愚痴と悪態この物語は彼の語り口調ですべて書かれている。その中でほとんど彼は「チェッ」といった憎まれ口をたたいたり、周りの人を「低脳」と罵ったりしている(実際にあまり口に出してないと思われる)が、そのほとんどがわかりすぎるほどわかりすぎて、そんな状況に陥れば何も誰も彼でなくても、それこそ「うんざり」してしまうと思われる。たとえば彼が退学処分させられたペンシー校では寮があり、そこで生活している生徒たちは週末に家に帰る。その帰る前日にはステーキがでるという。なぜかというと家に帰ったら親が「昨日の夜ご飯は何をいただいたの?」と聞くだろう、そうすれば生徒は「ステーキ」と答える、それをあの校長はねらってるに違いないといったくだりで、彼がどれほどこの校長の「インチキ」くささを見抜き、嫌っていることがよくわかる。ちなみにこの校長は金持ち風情の親にしか丁寧な挨拶...この感想を読む
十代の君へ送る一冊十代、とりわけ十代前半の青春真っただ中の方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。私自身そうだったのですが、社会を射に構えてみており、とりわけ中学・高校時代は、自分よりも勉強ができないクラスメイトたち見下して過ごしていました。また自分に足りない部分があると、いろいろと言い訳をして、それを他人のせいにしていました。そんな人間に友人などできるわけもなく、独りで過ごしていました。私の青春時代の話はここまでにして、この本の主人公ホールデン・コールフィールドもそんな人間です。物語はホールデンが寮に入りながら、通っていたハイスクールを中退するところから始まります。学業不振で退学となるわけですが、ここでもホールデンは言い訳をして、退学となったことを他人のせいにします。退学となれば、寮を出て実家に帰られなければならないのですが、両親が怖くてそのことを言い出せないホールデンは旅に出ます...この感想を読む
こんなお話だったとは思いもしなかった。知名度の高さゆえに、一応読んでおこうかな、くらいの気持ちで手に取った一冊。描かれているのは、何気ない、思春期の青年の暮らし、とでも言おうか。そんなに特別なことが起こるわけでもない。かと言って冗長的なわけでもない。自分が一番印象に残ったのは、「フィービーのでも誰のでも、子供のノート・ブックだったら、一日じゅう、夜までぶっ通しでだって読んでいられるんだ」というシーン。主人公の素朴な魅力が伝わって来て、いいなぁ、と。こんな本がこんなにも有名になって世界に出回っているなんて、世の中そんなに捨てたもんじゃないのかもしれないな、と思った。
ホールデン・コールフィールド
妹から「将来何になりたいかみたいなこと」を挙げてみて、と言われた「僕」が言った言葉。