一日の価値は全部一緒なんだから、何をしたかの差なんかで私の今日の価値は変わらない。
山内桜良
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小説レビュー数 3,368件
名前この作品の個性・特徴といえるのは主人公の名前を表す【】であろう。どうやら主人公自身が他人から名を呼ばれる際に相手が自分に対してどのような印象を抱いているか想像し、その想像結果を【】内の文字としているようだ。一見奇抜なものとして読み手の視界には映るがよく考えてみると私たちも日常でよくおこなっている行動ではないだろうか?他人と会話する場合何となく相手の口調や声色・表情などから自分に対する印象を無意識のレベルで感じ取っている気がする。そのためこの設定はとても私たち読み手の興味を引き、主人公への親近感を沸かせグッと物語に引き込むきっかけとなったはずだ。私たちは「名前」というものに大きな価値を感じていると思う。話す相手がいたとして一番初めに気になる相手の情報は名前ではないだろうか?名前を知り、その後の相手の印象や情報をインプットしていく。相手に対する呼び名がほしいのだ。そして相手には自分の名...この感想を読む
「君の膵臓をたべたい」というタイトルこの本の話をすると、必ず言われるのが「タイトルに抵抗を感じる」ということです。たしかにタイトルからは内容も想像し難く、手に取るには多少躊躇ってしまうほどインパクトのあるタイトルだなぁと私も思います。しかし、読んで見ればわかるとおりこのタイトルこそが作品の全てを物語っていると言っても過言ではないと私は思うのです。主人公と桜良の関係を表すにはまさにピッタリとはまるような、「これしかない」と思わせるような、そんなタイトルであると。そして帯にも書いてあったとおり、読み終わってタイトルを見直した私は見事に号泣してしまいました(笑)共病文庫桜良がつけていた「共病文庫」という名の日記。これはラストの盛り上がりで重要な役割を果たすキーアイテム。そして桜良の思いが詰まった宝物。きっと読者の皆様にとってもそうであることでしょう。思い返せば二人の出会いも共病文庫あってこその...この感想を読む
恋という言葉じゃ言い尽くせない絆の物語出会いから、別れまで、ふたりの間には、好きだとか付き合おうとか、具体的な言葉が交わされることはついになかったけれど、ふたりとも同じようにお互いのことを考えていた。なんでもやってみたがる少女と、なんにでも付き合ってしまう男の子の、息が合っていないようでピッタリな日々。日常を楽しむどこにでもいる普通のカップルのようなふたりが抱える大きな大きな闇。恋い焦がれた彼女は、その想いだけを残して意外な形でいってしまった。残された男の子の、溢れ出した気持ちや言葉が、胸を刺す。彼女の想いと優しさと強さなぜ、普通の少女がこんなにも強くいられるのか?そのこたえを小説の中から見つけようとしたけれど、結局彼女の人並外れた優しさと強さの根拠がわからなかったのが残念だ。そして、少女の男の子への想いを押し殺す姿は胸を痛くさせた。男の子がノーと言わない理由これももうすこし説得力が欲...この感想を読む
山内桜良
彼女が主人公といるときに、残りの時間が限られている彼女の一日と主人公その他大勢の人の一日を比較して。
志賀春樹
後半部分 彼女の死後主人公の春樹が共病文庫を読んで回想するシーン
山内桜良
余命わずかで病気の山内桜良が主人公のクラスメートに伝えるシーン。