名優二人の演技による秀作
名優二人の演技が素晴らしい
父親が脱税容疑で転落し、最愛の両親が離婚、その息子役のディカプリオは家を飛び出し、無一文のなか、小切手詐欺を思いつき、嘘に嘘を重ね、国内を転々とする。それを追うFBIのトム・ハンクス。結婚も経て、フランスに逃亡したところで捕まる。一旦は、刑務所に入るが、FBIから偽造部署で働かないかと持ちかけられ、生涯そこで働くというのがストーリーの骨格です。
何といっても、トム・ハンクスとレオナルド・ディカプリオという名優二人の演技がうまい。トム・ハンクスは淡々と演技し、ディカプリオはあらゆるシチュエーションでのあらゆる役、あらゆる感情を演じきっています。基本的に、ディカプリオはいつも何か内面でせき立てられているような、険しくいらだった表情を見せますが、この作品でも同じ。トム・ハンクスはそもそもは無色透明のやさしい善人というキャラクターが似合う人ですが、眉間に皺を作り考え込む表情をすると非常にシリアスな重さも体現できる人です。
もう一人の偉大な俳優、クリストファー・ウォーケン。凄い俳優ですね。そもそもそのワルな感じの顔だけで十分。見る者を釘付けにして目が離せなくなります。
生きてきた動機が一瞬で崩れ去るシーン
印象的なシーンとしては、ディカプリオの人生の根底にある最愛の家族の崩壊というほろ苦い感情のなか、最後に母の家に行き、母の再婚相手とその間にできた子供の姿を見て呆然とする、その表情が、何とも印象的です。ディカプリオの、まがりなりにも懸命に生きてきた動機は、自分がなんとか金を作ったら、もとどおりの家族になるという希望だったのかもしれないのに(本当にそうかどうかはあからさまに描かれているわけでもないので推測ではあります)、その望みが一瞬のうちに崩れ去るシーンです。
嘘みたいな部分もあるけど実話らしい
ストーリーは、過去と現在が巧みに交錯する構成。リーダビリティもあり、展開が小気味よいです。最初のクレジットシーンのグラフィックも素晴らしく、音楽も軽快でいいですね。冒頭のクイズ番組に出ている主人公のシーンも後になってその意味がわかる伏線になっています(つまり、犯罪者なのにどうしてクイズ番組に出られるの?という疑問)
難を言えば、主人公が医師に扮したとき、大学側は主人公の卒業大学にどうして照会の電話を入れないんだろうかということ。主人公が司法試験をパスしたことに、どんな手を使ったのか気になって仕方がないトム・ハンクス、最後になって「2週間勉強したらパスした」というオチもついている。でも、この映画は実話らしいのです。驚きです。
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