現代にはないかっこよい男の姿
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キャスティングが豪華すぎて全てのシーンが見逃せない!
今は亡き、松田優作、高倉健をはじめ、脇役にも有名な俳優がもりだくさん出演しており、本当にどのシーンも楽しめます。
私はこの映画が一番好きで、何度も何度も見直していますが、本当に何度見てもおもしろい!
特に松田優作の表情。この作品は、松田優作最後の作品です。病気を患いながらも過酷な撮影をしたということはとても有名な話。激痛と戦いながら、雨の泥だらけの中をバイクで走りまわるシーンは何度見ても圧巻です。狂ったようなヤクザ佐藤役の演技がすさまじいです。
なにせ目つきが凄い。一番最初の、佐藤をアメリカから日本へ護送し、警察を装った佐藤の手下に引き渡すシーン。佐藤がニックとチャーリーに対して挑発的な態度をとる表情もとてもかっこよいです。
佐藤がバイクを乗り走りまわるシーンがあるのですが、それもすべてスタントマンなどではなく、松田優作本人が乗って撮影しているとのこと。
人を殺すシーンや、指を切るシーンなど、過激なシーンが多々あり少し怖い部分もありますが、本当に気迫がすごすきます。ナイフで切りつけるシーン、チャーリーを殺すシーンなど、本気で怖いです。
目つきがもうこれ以上ないくらい冷酷で、くるっていて、あの表情は松田優作にしか絶対できないと思います。
今まで、ヤクザ映画もあまり見たことはありませんでしたが、本当にかっこよくてしょっぱなからゾクゾクが止まりませんでした。
同時にサウンドもとてもかっこよくて、各シーンにたまらなく合っていて、効果音も見逃せないと思います。日本独特の音楽と、アメリカとの融合も感じることができて、爽快感があります。
昔はVHSで見ていたのですが、何度も何度も巻き戻して同じシーンを繰り返しみたりしました。
佐藤の手下役で若かりしころのガッツ石松や内田裕也も存在感があり見ものだと思います。
男の意地とプライドがぶつかり合う迫力
ニックと一緒に佐藤を追っていたチャーリーは、とても屈辱的に、ニックの目の前で佐藤に殺されてしまいます。しかも前には鉄格子があり、助けにいきたくても助けに行けない状況。近くにいるのに、助けることができない何とも辛い状況です。
このシーンは本当にショックでした。ですが、そのシーンをきっかけに、ニックと松本が力を合わせて、本気で命がけで佐藤をつかまえようとします。
捕まえるというか、もう復讐です。
はじめは、松本とニックはおなじ警察同士でありながらも、日本とアメリカのギャップもあり、お互い不信感を持ち、反発しあっていました。しかし、チャーリーが殺されたことも火種となり、少しづつ、少しずつ、信頼関係を築いていきます。男同士のやりあいが、なんとも言えず、かっこよいのです。
また、日本のヤクザと警察とのぶつかり合い。これも本当に見ものです。警察がやくざのアジトに踏み込んで銃撃戦になるシーンは迫力満点。ヤクザのアジトが製鉄所のような工場であったり、各シーンもとても見応えがあると思います。
日本の屋台や、ネオン街、工場の風景なども、かっこよく撮影されているので、日本人はもちろん、海外の人も見ていて楽しめるのではないかなと思います。
また、この映画は大阪をメーンの舞台として撮影されているので、やくざもほとんどが大阪弁。個人的には、関西弁のやくざの方が凄みを感じるということもあって、そのあたりにも興奮してしまいました。
エンディングと高倉健の何とも言えない表情が凄い
最後は無事ニックが佐藤を捕まえます。本当に迫力満点で、最後はニックが佐藤を殺すのかな。。。。とハラハラしながら見ていましたが、捕まえて、警察に連行します。
その連行してくるシーンのドロドロになったニックと松本の二人の表情、そして、佐藤の表情はもちろん、その状況におどろく、署にいた警察官たちの表情もとても良いです。
あと、一番最後のシーン、松本とニックの別れのシーンはいま思い返しても鳥肌がたちます。
捜査でも見つからず、行方不明になっていた偽札の原板をニックが松本に渡します。渡し方も本当におもしろく、百貨店で購入したような包装紙に包んである箱の中をあけると、シャツが出てきてその下に原板を隠しているところ。
本当にイキなことをするなあと想いためいきがでます。ニックさんも松本もかっこよすぎです。
それをもらった時の高倉健の表情。くびをかしげて、唇をかみしめる表情です。
本当に良い役者だなあと思います。今の時代にはない、男らしい、かっこよさを見ることができて、たまりません。
内容も役者の演技も映像も音楽もすべてをとっても、120点のすばらしい映画です。
あとにもさきにもこの映画を超える映画はみたことがありません。
たいてい、紛争するような内容の映画だと、どちらかを応援というか、どちらかに主観を持って映画を見ることがほとんどなのですが、ブラックレインに関しては、悪者役の松田優作が魅力的すぎて、どちらにも主観を持ってみてしまいます。
この映画について書いていたらまた見たくなってきたくらいです。
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