テルマ&ルイーズのあらすじ・作品解説
「テルマ&ルイーズ(Thelma and Louise)」は1991年公開のアメリカ映画である。 主人公の女性二人の現実からの逃避行をストーリーにした「90年代女性のアメリカン・ニュー・シネマ」とも評されるロードムービー。 監督はリドリー・スコット、脚本はカーリー・クーリ。 第64回アカデミー賞並びに第49回ゴールデン・グローブ賞において脚本賞を受賞。 アメリカ南部アーカンソー州の小さな町に住む女性二人の女性、テルマは身勝手な夫と不毛な庇護のもとに暮らす主婦、ルイーズはウェイトレスとして働く独身女性。過去に傷を持ったまま暮らしている。 親友の二人は日常の生活から抜け出すためドライブに出かける。夕食のため立ち寄ったバーで悪酔いしたテルマは、バーの店員にレイプされかかる。それを助けようとしたルイーズは、男の吐いた暴言に銃を発射し射殺してしまう。 そのまま逃避行を続ける二人、ヒッチハイクの男(ブラド・ピット)に騙され金を取られ、警察に追い詰められる二人の行先は…。
テルマ&ルイーズの評価
テルマ&ルイーズの感想
リドリー・スコットの独自の世界。映画と社会。
フェミニスト映画?それともリベンジ映画?テルマ&ルイーズが公開された年、本作はアメリカで大きな社会現象を巻き起こし話題を呼んだ。それは本作がフェミニスト映画か否かという議論で意見が二つに分かれたためである。加えて、当時アメリカ本土を含む女性の社会進出を掲げるフェニズム運動が盛んに行われていた背景もあった。フェミニスト映画だと唱える人々の主張は、映画の反男性的な側面に注目したもので女性が男性に抑圧されることなく自由気ままに旅を続ける姿は紛れもなく社会での女性の活躍の可能性を広めた映画だというもの。確かに本作ではテルマやルイーズが男性に屈する描写は一切含まれておらず、むしろ男性を出し抜き、銃で脅すシーンが印象的なのは事実である。また、基本的な映画に見られる男女の役割が逆転している点も要因しているだろう。ただ、ここで興味深い点は本作がフェミニスト映画ではないと主張していたのもアメリカの女権...この感想を読む
アメリカの大自然をぶっ飛ばす女二人の逃走アクション
ラストシーンで、はっっっと心を掴まれた。あーそういう終わり方かーと…。だいたいエンディングで死んでしまう映画って、こんなにかっこよくない。だいたいちょっと前から不穏な空気漂う、死を予期させる音楽がかかる。でもこれは、私にとっては何の予兆もなく、パッと散る命の美しさを見せられたような感じがした。90年代に作られた映画なのだけど、80年代アメリカっぽい雰囲気があふれてる。最初はテルマのアホさとか天然さにイライラもさせられるけど、途中からはどんどんかっこよく見えてくる。このテルマの性格の変化はこの映画の大切な一つのポイント。上下ジーンズ姿がめっちゃ決まってる。ルイーズはずっとかっこいい。恋愛の仕方まで、統一されたキャラ設定。細くてわかいブラッドピットの突然の登場シーンでも盛り上がりました。女性が開放的になっていく様子と追い詰められていく様子、そのストーリー展開がきちんとグラデーションになっている...この感想を読む
大平原を疾走する二人の女性の輝き
退屈な日常に飽き飽きした二人の女性が、週末にドライブがてらに羽根を伸ばしていましたが、片方が知り合った男にレイプされそうになり、それを助けようとして射殺してしまったことから物語は急転直下します。色々と手をつくしますが、夫は助けてくれず、手に入れた金は持ち逃げされたりとどうしようもなく、スーパーに強盗に押し入ってオープンカーでひたすら逃走のためにメキシコを目指します。あらすじだけで言えばただの犯罪映画ではないかと思いそうですが、内容をよく見ていくと、これは「女性」の自立の問題も絡めています。夫に従うだけだった女性が、逃走の中で自我を解放していく有様や、自由を楽しみはじめるさま。最後は安易なハッピーエンドではありませんが、なぜか異常な爽やかさを感じれる映画です。