境遇をどう受け入れるか。
同じ境遇を持つ晴美と陽子。陽子のセリフで「私たちが親友になれたのは同じ境遇だからなのかな」というものがあります。タイトルにもなっている「境遇」という言葉。その人の家庭環境だったり経済的な状況や人間関係などことを言うわけですが、生後まもなく養子として現在の両親に育てられ、県議会議員の夫がいて絵本作家としても成功している陽子と、18年間児童養護施設で育った晴美は同じような境遇と呼べるのでしょうか。本当の親を知らないという共通の境遇に置いては同じと言えるのかもしれないですが・・。ただ、作品は晴美の視点からの文章と陽子の視点からの文章とが交互に来ているのですが、陽子の視点の部分を見てもあまり上から目線な印象はなく純粋に晴美のことを信頼していて、ただこの友情は同じ境遇というつながりがなければ成り立たないものなのかという不安が感じられました。一方晴美は不倫相手に「今日は幸せな奥さん代表みたいな人に...この感想を読む
4.04.0
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