人間模様と推理を同時に楽しめる作品
看守眼三十八年の勤務のうち、二十九年間を留置場の看守として過ごした近藤。希望した理由は看守を心から望んでいたわけではなく刑事になる夢をあきらめきれなかったためだという。この話の中では主人公である山名悦子。家庭の事情から安定している仕事を選び、ただその仕事にも思っていたのとは違う現実を感じている。また、結婚相手に関してもプロポーズされるも一歩踏み出せないという現状。そんな思い描いていたものと違う現実や、妥協してきた現実を抱えている山名悦子だからこそ機関紙の編集をする中で知ることとなった近藤に対しての憧れや羨望のような気持ちが心のどこかにあったのではないかと感じました。この話の中では、自分の希望(刑事)に向けて周りになんと言われようと山手町の失踪事件に情熱を捧げる近藤と山名が対照的だった点も印象的だったのですがなんといっても事件の真相のほうが印象的でした。殺されたとばかり思っていたエミ子が...この感想を読む
5.05.0
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