ユリゴコロの評価
ユリゴコロの感想
死生観を揺り動かされる作品
誰にでもある殺人衝動このお話は美沙子がサイコパスの素質を持っているというかもはやサイコパスであることが話の中心となり、そもそもそれが原因で様々な出来事が展開していきます。亮介も塩見に殺意を覚えた場面で「誰の心の奥底にもひとりの殺人者が潜んでいて、呼び覚まされる条件が整うときをじっと待っているのかもしれない」「戦争のない時代には理由のない殺人事件が増える」と考えています。確かにこれはわかりやすいと感じました。もちろん行動には起こさなくとも誰しも一度は殺したいという気持ちが心をよぎったことがあるのではないでしょうか。でもそれは本当に一瞬のものでもちろん間違ってもそれに近い行動すらしないというのが人だと思うのですが、殺人衝動が引き起こされる引き金が非常に軽く、行動もすぐに起こすことができ、またその行動に関してなんら罪悪感を持たないのがサイコパスのひとつの種類ですね。また、最後にまるで亮介を守...この感想を読む
一気に読みました
まったく予想がつかない展開推理小説とも違うような、ホラーなのか?なんなのか?とにかくどういう展開になるのか想像つかなくて、とても引き込まれて続きがみたくてたまらなかったです。独白ノートを書いた母の幼少期はなぜそんなだったのかっていうのはとくに説明がないけれど発達障害的なものなのか?ものに興味を示さなかったとか頭にコブがあったとか殺人を罪悪感なくすることがコブとつながるのかと思ったけどそうでもなく。親が特別おかしかったとか育て方がおかしかったわけではなさそうだから、そういう性分の子供だったというだけという解釈でよいのでしょうか。最後の最後までどんでんがえし殺されたと思った亮介の母は結局生きててずっとそばにいたという。ずっとと言ってもペットのお店を開店させてからのことだけど、まさかあの人がね・・・っていう。すごくきびきびしてていい人そうだったけど、幼少期の異常さとつながらなくて。みんなが細...この感想を読む
サスペンスなのか、ホラーなのか?
主人公が不気味な手記を読み始めると、私まで一緒にドキドキして、背筋がゾクゾクなりました。元来、ホラーやサスペンスは苦手なので、途中から読むのを止めようかと思いましたが、怖いもの見たさでしょうか、先が気になって一気に読んでしまいました。主人公は父親が病気で先が長くない上に、恋人がお金を持って失踪たりなど、ボロボロな精神状態なのに、実家の押し入れで殺人告白が書かれている不気味な手記を見つけて、自分の出生の秘密・本当の母の存在などを知ることになります。凄すぎる内容!!私だったら、ぶっ倒れて寝込んでしまいそうです。ラストのどんでん返しは途中予想がついてしまいましたが、そのころには読み始めのゾクゾクとして不気味さはなくなってました。なんかスッキリとはしないけれど、ぼんやりと温かい余韻が残りました。