花の鎖の評価
花の鎖の感想
美しく哀しい鎖に縛られた3代にわたる女性たち
3つの話が同時進行する展開この「花の鎖」は湊かなえらしい魅力に溢れている。全体の構成としては3つのストーリーが同時に進行していくのだけれど、それぞれの主人公たちのつながりとその関係が分かると同時に、今までより余計にストーリーから目が離せなくなってしまう。大体話の結末が見えてしまったり、そうでなくとも全体的なストーリーの峠を越えてしまうとその後加速度的に内容がつまらなくなってしまうときがあるけれど(それは映画でもよくある)、今回の作品においてはそれは全くなかった(ラスト以外)。3人のつながりが全く分からないときでさえ、巧みな心理描写で主人公たちの気持ちに十分感情移入してしまっていたのに、その3人の関係が分かるという物語の“峠”を越えてさえ、まだ読者の気持ちを離さないストーリー展開はさすがと思った。また、タイトルの「花の鎖」は初めて見たとき、いささか古すぎるセンスではないかと思った。そこは...この感想を読む
花の鎖を読みました。
『高野美雪』(祖母)→『高野(前田)紗月』(母)→『前田梨花』(孫)の三代にわたる物語です。両親を亡くし、祖母もガンで入院中に勤務先が破綻した梨花。 伯父夫婦のすすめで職場結婚したが子供ができずに悩む美雪。 公民館で水彩画教室の講師をしつつ和菓子屋でバイトをしている紗月。 -そして、3人の女性の人生に影を落とす謎の男『K』1章ごとに『花"』『雪"』『月』の3人の物語が進んでいき、それぞれ時代背景や家族についての詳しい事など分からないのだが、章が進むにつれ無関係のようだった3人が段々とつながっていきます。『雪月花』それは3人の名前に付いているだけでなく、この物語の中でとても重要な鍵を握っています。 真実が分かるに連れて謎解きが出来た事に喜びを覚える一方、明らかになった事実の悲しさが滲みでてきそうでした。高野美雪の夫は美雪の従兄である設計事務所社長により、夫が設計した美術館の名義を会社名にされた挙...この感想を読む