夜行観覧車のあらすじ・作品解説
夜行観覧車は湊かなえによる日本の推理小説である。 「小説推理」の2009年8月号から2010年3月号まで連載され、2010年6月には双葉社から単行本が発売された。また、2013年1月には文庫化された。 分不相応でも念願のひばりケ丘に一戸建てを建てることができ引っ越してきた遠藤家と、その向かいに住み、遠藤家と親しくなる高橋家、2つの家族に起こるいじめ、嫌がらせ、殺人事件を通して家族の崩壊と再生を描く作品である。 2013年1月にはTBS系列でドラマ化され、鈴木京香が主演をつとめた。鈴木京香の娘役を演じた杉咲花は引きこもり、家庭内暴力、といった難しい役どころを好演したことでも話題を呼んだ。最終回では視聴率13.9%を記録し、平均視聴率は10%を超え、11.6%を記録し、TBSのヒット作品となった。この作品で鈴木京香は第76回ザテレビジョンドラマアカデミー賞を受賞した。 木村まるみにより、漫画化もされている。
夜行観覧車の評価
夜行観覧車の感想
家庭の事情
高級住宅地「ひばりヶ丘」での殺人事件の話。殺人事件がおこった高橋家・家庭崩壊している隣の遠藤家・ひばりヶ丘の品格を守ろうとする小島さと子。これらの家族と取り巻く人々の視点から、事件が語られていく。ミステリーの要素はほとんどなく、事件を軸にして、登場人物が抱えた「家庭内の闇」が描かれている。個人の立場・置かれた状況から事件を見つめ語るという、心理描写とその行動の繋がりをじっくり楽しむ類の小説である。高橋家の残された異母兄弟達は今後を生きるために協力して口裏あわせを行う。子でも知らなかった母と父の関係性・異母兄弟のささやかな確執が丁寧に書かれている。遠藤家では、無理して高級住宅地に住み見栄を張って生きていく母と、中学受験に失敗して母に恨みを持ち暴れる娘の関係が痛々しい。それを知りながら帰宅拒否する父が悲しい。崩壊家庭の典型なのかもしれない。
見守ることの意味。
家族だから甘えてしまって、許せないぐらいのぶつかり合いになることもあって当たり前なんだけど、「ひばりが丘」ではしんどくなってもうたんかなぁ…と思ったり。ドラマが面白くて面白くて、原作も読みたくなって読みました。思春期の子供の心の描写が上手だなぁと思いました。ドラマの後に読んだからか、少し物足りないと感じてしまいました。ドラマでドキドキしたり時には涙したりした感覚が薄い感じで、映像化が向いている作品なのかも?と思ったり。読みやすく、さらりと読めてしまうので暇潰しにはお勧めです。おせっかいな人は意外に他人が心底困ると助けてくれるんかもしれないなぁと思いました。
期待する解決はしないが・・・考えさせられる作品
テレビの続きが気になりすぎて、とうとう小説を買ってしまった派です(笑) 少しずつ歯車が狂い崩壊していく家族の物語というところでしょうか。 とても良い子だった娘が、ひきこもりの家庭内暴力になり、隣は父親が何者かに殺され、殺人事件へと発展していく中での人間模様をえがいた小説です。 すごく暗いし、最後も解決したのかこれ?って感じなんですが、その中でも必死に立ち直りたい、生きたいという気持ちがあらわれてきて、ある意味人間らしい人たちでなんか安心します。 どんなに仲良く見える家族でも、表向きでは何もなさそうな人でも、それぞれみんな何かを抱えていて、どうしようもできない中で生きてる。 そして、どんなに殺したくなるような娘でも、家族で血のつながりがあって、それは簡単にはきれない。 人間て複雑で弱いけど愛すべき存在だなって、なんかこの小説をよんでいると感じてくるのです。