夜行観覧車の評価
夜行観覧車についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が8件掲載中です。
各項目の評価分布
夜行観覧車の感想
家庭の事情
高級住宅地「ひばりヶ丘」での殺人事件の話。殺人事件がおこった高橋家・家庭崩壊している隣の遠藤家・ひばりヶ丘の品格を守ろうとする小島さと子。これらの家族と取り巻く人々の視点から、事件が語られていく。ミステリーの要素はほとんどなく、事件を軸にして、登場人物が抱えた「家庭内の闇」が描かれている。個人の立場・置かれた状況から事件を見つめ語るという、心理描写とその行動の繋がりをじっくり楽しむ類の小説である。高橋家の残された異母兄弟達は今後を生きるために協力して口裏あわせを行う。子でも知らなかった母と父の関係性・異母兄弟のささやかな確執が丁寧に書かれている。遠藤家では、無理して高級住宅地に住み見栄を張って生きていく母と、中学受験に失敗して母に恨みを持ち暴れる娘の関係が痛々しい。それを知りながら帰宅拒否する父が悲しい。崩壊家庭の典型なのかもしれない。