おまえは地面になったらいけん。海じゃ。なんぼ雪が降っても、それを黙って、知らん顔して呑み込んでいく海にならんといけん
海雲和尚
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『とんび』は、重松清による自伝的な小説である。2003年10月から2004年7月にかけて「中日新聞」や「西日本新聞」「北海道新聞」などにて掲載されていた。 昭和37年、瀬戸内海に面した小さな町の運送会社に勤めるヤスに、長男アキラが誕生する。幼い頃親と離別したヤスにとって、愛妻美佐子と小さなアキラは、ようやく手に入れた「家族」のぬくもりだった。しかしこの幸せは長くは続かない。ある日、ヤスが連れて行った仕事場で、アキラをかばった美佐子が不慮の死を遂げてしまう。突然の悲劇に悩み、苦しみ、戸惑いながらも、ヤスは不器用に、けれど精一杯アキラを育てていく。そして、温かく見守る周りの人たちに支えられながら、ふたりは成長していく。父と息子に流れる時間と親子の絆を描く感動の小説。 2012年にはNHKで、また2013年にはTBSでもドラマ化され、NHKのドラマはモンテカルロ国際テレビ祭のミニシリーズドラマ部門で最優秀賞を受賞、TBSのドラマはアジア・テレビジョン賞でドラマ部門の最優秀賞を受賞した。
ドラマを観ていて毎回号泣していて、原作も読みたくなりました。家族の中で、重松信者は自分だけだったので、これを機に信者を増やしたくなり、義母に貸したところ、ドラマを観ていたらしく、大喜びしていました。重松さんの作品は家族の絆、人と人との繋がり、そこから生まれるドラマ、その全てがリアルで嘘臭く感じなくて好きなんです。『とんび』も素敵な作品です。子供を育てること。子供が育つこと。親の役割。親じゃないからできること。周りの大人たちのぬくもり。本当に全てが素敵です。いつも、重松作品で大切なことを教えてもらっている気がします。
ドラマを観て、すごく昔懐かしい良い話だなあと思って本も買ってしまいました。 お父さんは、昔気質の頑固親父で、でも根はすごくいい人で、 お母さんは、優しく包み込んでくれるような大きい人で、そんな両親の元で育った男の子はとても幸せ者だと思いました。 そして、その男の子と家族を取り巻く人々も本当に温かいんですよね。 男の子が迷った時、苦しい時、いつも誰かが温かい言葉で包んでくれるんです。 お母さんは亡くなってしまったけど、でも心の中にいつまでも生き続けている、そんなことをみんなが教えてくれるのです。 心の氷を溶かしてくれる母親という存在。 いつも背中を見せて引っ張って行ってくれる父親の存在。 私も、両親を大事に生きていきたいなと改めて思いました。 家族っていいですね。
主人公が連れて行った仕事場で息子を庇い事故死した妻。父子家庭となり不器用なりに戸惑いながらも周りの人々に支えられながら息子を立派な大人に育て上げた主人公の半生を描いた物語。舞台は昭和30年代から平成へ変わる頃。昭和の良さを教えてくれる作品で涙を誘う場面も多々あります。フィクションなのにリアルすぎて自分の周りにこういう人がいるのかもしれないとか思っちゃったり・・・昭和のよさを感じたい方。クサイセリフが出てきても涙が流れるほどに感動したい方ぜひ読んでください。でも家の中で読んだほうが良いと思います。私は以前バスの中で読んでいたのですが、場所問わず涙が出てきました。周りの人に心配される可能性があるので場所は選んだほうが良いです。
海雲和尚
妻を事故で亡くしてしまった主人公が、まだその事実を理解できない幼い息子に対しどう接していけばいいか苦悩しているとき。 主人公を幼少期から自分の息子同然に可愛がっていたお寺の和尚さんからの言葉。