ヒトリシズカのあらすじ・作品解説
ヒトリシズカは2008年10月22日に発売された、誉田哲也の連作短編集であり、双葉社の「小説推理」に連載された。2012年10月21日~11月25日までWOWOWにて連続ドラマとして放送された。 「闇一重」…住宅街にあるアパートで男が、突然押し入ってきた別の男に射殺される事件が発生する…。「蛍蜘蛛」…生活安全課に勤務していた山岸は殺人事件の捜査に加わることになり…。「腐死鳥」…静加の父は昔部下であり今は探偵をしている青木に娘の捜査を依頼し…。「罪時雨」…いきつけの床屋から姪が同棲している男から暴力を受けていることを相談され…。「死舞盃」…南原宅で銃撃戦が起こり、5人死亡、重態3人が出てしまい…。「独静加」…佐川真琴が詐欺罪などで逮捕され…。 誉田哲也は1969年8月18日生まれ、東京都出身である。2002年「ダークサイド・エンジェル紅鈴妖の華」にて第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞/2007年には「ストロベリーナイト」にて第9回大藪春彦賞の候補に選ばれた。
ヒトリシズカの評価
ヒトリシズカの感想
一気に読破
六章の構成で描かれたミステリー作品。時系列がバラバラに書かれているので注意して読まないと「誰のことだっけ??」となってしまうが、この書き方が事件を複雑なものにしていて大変面白い。最終章まで事件の核の部分が分からず、ピースの多いパズルを訳もわからず埋めていくような感じの物語だ。部分部分が完成していき、最終章でスッキリするという感じである。静加という狂気の女性が犯す数々の犯罪。表立って手を染めるのではなく、裏で操る様子が恐ろしい。他の方もレビューで書いていたが、東野圭吾の『白夜行』『幻夜』と似ているな、と思い読み進めた。雪穂のように不気味さの漂う主人公である。四章がキーとなる。怖くて哀しい物語。
ドラマも観てみたくなった
謎の少女「静加」を追う連続短編作品。一話一話がどれも面白く、途中でやめられずに最後まで一気読みしてしまった。一見、恵まれた家庭に育ったように見える静加が、なぜそこまで残忍かつ狡猾に犯罪を繰り返していくのかが解らず、途中までは静加を追う警察側に立った見方になりがちだったが、徐々にその生い立ちと心情が見えてきて、最後には静加の数奇な人生に思いを馳せてしまう。ラストについてはもしかすると賛否あるかもしれないが、自分としてはあれで良かったように思う。作者は違うが、どこか東野圭吾の「白夜行」を思い出させる。ドラマも作られたようなので、そちらも是非観てみたいと思う。