古典的なミステリ小説のリバイバル
本作品は昔風の推理小説を好む人には一読の価値があると思います。 テレビの二時間推理ドラマのように刑事が何時間もかけて聞き込みを重ね、地道に事件の解決を図るといった作風とは対極にあります。 驚愕のトリックや意外性のある落ち、謎の連続殺人というように、いかにも「ミステリ」で連想される古典的な作風を踏襲したものです。 作者がその種のミステリを目指したことは、登場人物に言わせている台詞からも推測できます。 クリスティの名作の雰囲気を背景として、孤島に集まった大学のミステリ好きのサークルメンバー。一同は変人の建築家によって建てられた「十角館」という奇抜な建物に滞在しますが、その外界から孤立した状況の中で、次々に連続殺人が行われていきます。 凄惨な連続殺人が展開する中で、探偵役となる人物含めてもう一つの日常的なストーリーが展開していき、最終的に驚愕を生む形で収束していきます。 衝撃的なトリック、予想もつかない結末、謎の連続殺人……この手の趣向が好きでたまらない人にはおすすめになります。
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