古典的なミステリ小説のリバイバル - 十角館の殺人の感想

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小説レビュー数 3,368件

十角館の殺人

4.424.42
文章力
4.17
ストーリー
4.08
キャラクター
3.92
設定
4.33
演出
4.42
感想数
6
読んだ人
13

古典的なミステリ小説のリバイバル

3.53.5
文章力
3.5
ストーリー
4.0
キャラクター
3.0
設定
4.0
演出
4.0

本作品は昔風の推理小説を好む人には一読の価値があると思います。 テレビの二時間推理ドラマのように刑事が何時間もかけて聞き込みを重ね、地道に事件の解決を図るといった作風とは対極にあります。 驚愕のトリックや意外性のある落ち、謎の連続殺人というように、いかにも「ミステリ」で連想される古典的な作風を踏襲したものです。 作者がその種のミステリを目指したことは、登場人物に言わせている台詞からも推測できます。 クリスティの名作の雰囲気を背景として、孤島に集まった大学のミステリ好きのサークルメンバー。一同は変人の建築家によって建てられた「十角館」という奇抜な建物に滞在しますが、その外界から孤立した状況の中で、次々に連続殺人が行われていきます。 凄惨な連続殺人が展開する中で、探偵役となる人物含めてもう一つの日常的なストーリーが展開していき、最終的に驚愕を生む形で収束していきます。 衝撃的なトリック、予想もつかない結末、謎の連続殺人……この手の趣向が好きでたまらない人にはおすすめになります。

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新本格派始まりの作品

推理モノ、と一口に言っても、色々と種類がある。刑事を主人公とした刑事モノなのか、足で歩き回りときに襲う火の粉を振り払うためアクションをしたりするハードボイルドモノなのか、それとも普段の生活にある些細な謎を中心にした日常モノなのか。この作品は、どれでもない。推理小説と言って頭に思い浮かぶ古典的な『探偵は人々を集め、さてと言い』に近い。フーダニット(誰がやったのか)・ハウダニット(どうやってやったのか)を主軸としながら、探偵ではないけれど作者から『探偵役』を振られた登場人物の視点で話が進む、オーソドックスにして見事な推理小説である。この作品以降、『新本格派』という言葉が生まれた。本格というのはつまり、クリスティ、カー、クイーンなどの欧米の名手たちによる名作推理小説を指し、それとは違い日本の風土で日本人が読みやすいよう仕立て上げられた推理を主軸とする小説を書く作家のことを、新本格派と呼ぶよう...この感想を読む

5.05.0
  • 188view
  • 515文字

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