窓ぎわのトットちゃんのあらすじ・作品解説
『窓ぎわのトットちゃん』は女優でありタレントである黒柳徹子さんの自伝的小説である。自由奔放なトットちゃんが、小学校1年生で退学となるところから物語は始まり、転校したトモエ学園のユニークな教育方針のもと、のびのびと生活していく様子が綴られている。 トモエ学園の校長小林宗作氏は「リトミックと創造」を理念とし、また男の子も女の子も障害のある子も「みんな一緒だよ」と言い続けた。電車を教室にした学校で、小林先生の大きな愛に守られ、子ともたちは明るく情操豊かに成長していくのである。 トットちゃんたちの瑞々しい感性は読むものを魅了し、戦後最大のベストセラーとなった。 日本国内では第5回路傍の石文学賞を受賞し、単行本・文庫本を合わせ累計800万部を発行した。また、世界35ヶ国でも翻訳され、ポーランドでは「ヤヌシュ・コルチャック賞」を受賞した。 小説として評価されるだけでなく、初等教育などを考える上での資料ともなっている。
窓ぎわのトットちゃんの評価
窓ぎわのトットちゃんの感想
君は、ほんとうは、いい子なんだよ。
黒柳徹子さんが通ったトモエ学園。園長の小林先生の言葉が胸を打ちます。発想や視点が違うためにいわゆる「問題児」として小学校を退学になったトットちゃん。そのトットちゃんをあたたかく迎え、トットちゃんを学校大好きっ子にしたのがトモエ学園です。今でいうところの、フリースクールに近い形態でしょうか。その教育法は、親である私から見ると思い切ったもので、でもとても楽しそう。可能ならばわが子たちを通わせてみたかったですね。君は、ほんとうは、いい子なんだよ。裏を返せば、いい子でない部分が外に出てしまっているようにも取れますが、小林先生の意図はそこではなかったはずで、純粋にそれを捉えたとっとちゃんはこの言葉に大いに自信をつけられます。時代は戦争に向かい、悲しい場面も多くなっていきますが・・・愛情と個性あふれた学校とあたたかい家族の理解が素敵です。この感想を読む
居場所。
母の本をこっそり読むのがマイブームだった小学生の頃に読みました。子供でも面白いと思える本が母の所蔵書籍には少なかった(そりゃそうだ)だけに、窓ぎわのトットちゃんは私にも読める! という点でも感動を覚えたものです。車両が教室なんてイレギュラーっぷり。ときめきました。子供心、掴みまくり。私は勉強がその頃は別に嫌いじゃなかったけれど、自分のクラスには確かにこんな感じの何だか変わった子っているもんなぁと思いながら読んでいました。子供にとって、居心地の良い居場所があるって、どんなに救われるだろう。それは大人もでしょうけど、子供にとっては殊更そんな気持ちになると思います。まだ、知り得る世界が小さいから。その体験が、後々の人生に影響するのは必至ですよね。トモエ学園のような学校、もし今もどこかにあるとしたら、周りの人にはぜひ静かに見守ってほしいと思います。
私にとって、子育てのバイブルです
黒柳徹子さんの記憶力に舌を巻きながら読み進めました。この物語を読んで、「トットちゃん」の性格には賛否両論いろいろあると思います。ですが、私にとってはこの本は子育てのバイブルです。自由奔放すぎるトットちゃんに校長先生はいつも、「君は本当はいい子なんだよ」と言い続けます。いい子だ、と自信を与え続けています。どんな子供も、生まれてきて、生きているだけで「いい子」なんです。いろんな性格の中で大人に「悪い」と思われる部分があっても、やっぱり「いい子」なんです。いいところがたくさんあるんです。そんな子供への愛情いっぱいの物語です。最後のシーンでは、そんな愛あふれる校長先生の生きざまを見せつけられた気がして、感動の涙が触れました。