一人きりで生きれば孤独さえなくなると、そう考えたのは間違いだった。ただ、自分の孤独にさえ気づかなくなるだけだった。
本間ミチル
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乙一さんの作品の中でも、大好きな小説です。 読了後の爽快感とあたたかい気持ちは、あまり味わったことのない感覚でした。 普通、とは言えない境遇にある二人の男女が、奇妙な共同生活送っています。この二人ともが、なんとも言えず愛らしいのです。二人の関係性の変化や、微妙な空気感が文章を通して少しずつ伝わってきて、こちらまでもどかしい気持ちになってしまいました。 特に、ラストの展開は秀逸でした。読んでいる途中から、この本はいったいどういう終わり方をするんだろう?と思っていたのですが、わたしにとってまったく予想の範囲外の展開で、びっくりしました。 乙一作品を読んだことのある方にもない方にもおすすめしたい一冊です。
もう何年前になるのか、乙一さんの初期を代表するような作品ではないかと勝手に思っている。乙一さんの作品はその作風から、黒乙一・白乙一と呼ばれることがあるが、これは白乙一作品。目の見えない女性と、殺人容疑で追われている男性との奇妙な同居生活。これがまたうまいこと騙される。そもそも乙一さんの作品は、文章力よりもアイディア勝負で“読ませる”ようなものが多いと思うのだが、この作品も然り。ラスト、まさかこんな展開になるとは! と驚かされること必至。そして“独り”の彼女と、彼との出会いが、心あたたまるものとなっていると思う。それにしても、あの表紙はいかがなものか(苦笑)。
本間ミチル
目が見えないミチルは家の中にこもりきって一人きりでもいいと思っていたが、それがアキヒロやカズエと過ごすうちに間違いだと気づかされる
大石アキヒロ
自分が人と関わらない生き方をしてきたことを後悔する場面