走れメロスのあらすじ・作品解説
「走れメロス」は、明治を代表する文豪の一人、太宰治の短編小説である。1940年5月号「新潮」に掲載された。太宰治の代表的な作品にには、この作品以外には、「人間失格」「斜陽」などがある。 この作品は、純朴な牛使いの青年メロスが、自分が処刑されることを承知の上で、妹の結婚式に出るために親友であるセリヌンティウスを、暴君ディオニス王に人質として預け、村に帰り結婚式に出席し、そしてまた処刑されに、全力で体力の限界まで達するほどに走り続けるのである。帰ってくる途中に、川の氾濫にあったり、山賊の襲来にあったり、さまざまな不運にであう。メロスは、一度、セリヌンティウスを裏切ろうかと考えるが、再び走り出し、自分の命をささげるために王のもとに帰ってくるのである。その姿を見て、彼らの友情を見た王は改心した、という物語である。冒頭部分「メロスは激怒した」は大変有名な一文である。 大変有名な作品で、ドラマ化されたり、アニメ映画になったりしている。またメッセージ性の高さから義務教育の国語の教科書にも扱われている。
走れメロスの評価
走れメロスの感想
衝撃
メロスは激怒した。この冒頭文を知らない人はあまりいないだろう。私自身も小学生の頃、この作品を読み衝撃を受けた。冒頭でこれほど興味をそそられる作品も、そうはないだろう。読み進めていくと、ん?と思うことは多々あるものの面白い作品である。人を信じることができず人々を殺し、それが平和につながると思っている王とそれに対し反逆し処刑されかかっているメロス。冒頭を読むだけで少しふっと笑ってしまう。王を罵倒するだけ罵倒し、「3日後、妹の結婚式である」といい始めるメロスに驚きを隠せない。少しツッコんでしまうが・・・最後は身代わりの友人のために走って帰ってくるわけだが、最後に思うことは、人はそれぞれ違っておもしろいんだなということ。読んで客観的に気づくこともある。
暑苦しいけど羨ましい
私の通っていた地区では、教科書にも載っていた太宰治の作品の中でも、有名な作品の1つです。太宰治さんの作品は、彼の人生観や生き方を反映してか、厭世感漂う暗めの話が多いの中では、異色なほど前向きで、明るい物語となっています。教科書の教材として読んだ時は、思春期真っただ中、大人の言うことなんて信じないぞという頃だったので、こんな都合のいい話なんてウソ臭いと思った程度で、それほど気にも留めませんでした。大人になって読み返してみて感じたのは、とにかく友人との約束を果たすことだけを考え、がむしゃらに走り続けるメロスの姿は、暑苦しくはあるけど、どこか羨ましいということでした。実際、あそこまで自分をなげうって、友情を大切にするのは難しいことですからね。ただ、この話を読んでいて、自分が友人たちに支えられていることをふと思い出し、ささやかな幸せを感じることができました。
猪突猛進型の人間の自分との戦い
中学校2年生で取り上げられる作品。思春期真っ只中の中学校2年生には大好評の物語文だ。暴君ディオニスは人を信じられなくなった王様。自分の妻・子・臣下。身内をどんどん殺していった。その暴君と無茶な約束をするメロス。メロスは熱い男だ。妹の結婚式の買い物に街に出掛けて、用を済ませたその足で暴君に会いに行く。その手に買い物袋があったかは分からないが。現代に置き換えると、コンビニ寄ってそのままフラリと皇居に行って文句を言う行動に等しい。よくよく考えると熱血漢の礼儀知らず。猪突猛進型の人間だ。日を改めることはできなかったのか?終始、熱血漢メロスの自分との戦いが描かれている。やはり、人生最大の戦いは自分との戦いなのであろうか。