黒猫館の殺人の評価
黒猫館の殺人の感想
映像化は難しい作品
綾辻行人の『館シリーズ』6作目。マンネリ化してきたかのように思えたところで出た傑作の一つだ。絶対、とはいわないまでも、この作品を映像化するのはかなり無理があると思う。文章だからこそできる大きなトリックが仕掛けられているからだ。そこまでいうと、ミステリ好きな方の一部はどんなトリックが仕掛けられているのか、なんとなく推察されてしまうだろうが、解っていてもオチの段階で『そうか、しまった!』と膝を叩いてしまうのが、秀逸な作品だろう。この作品もしっかり膝を打って頂けると思う。特に、「文章だからこそ」というのがこの作品は顕著で、視覚化してしまっては面白さが半減どころか地の果てにまで落ちてしまう。『館シリーズ』という枠組みにあるからこそ、その構図が面白く、堪能できる作品であるといってもいいかも知れない。