絶望感をアイデンティティにした男のはなし。
この著者の本を読むのは、これで3冊目です。まだかなりくどいけれども、やっと読める文章になってきたなあ、というのが正直な感想。2005年11月号の「群像」に著されたものを本にしたものだそうです。おどろおどろしい表紙に、いかにもな題名からいって、よっぽどいっちゃっている文章なのかと思いきや、この著者にしては読みやすく、しかも、意外な事に、ハッピーエンド!なのです。よかった、よかった。戸越の境遇は、こちらの世界での猿岩石や、ドロンズか?と思えて仕方が無い、というか、そのまんまだろう?と思いました。もうちょっとひねりのある設定にできなかったのか疑問に思う位、そのまんまです。戸越は、芸能界には戻れないかもしれないけれど、こちらの世界の有吉は、華麗に復活したので、そこが違うと言えば、違うかも。絶望感をアイデンティティ(存在意義)にしてしまった戸越は、この話の後、何をアイデンティティにするのかな、と...この感想を読む
3.53.5