十角館の殺人のあらすじ・作品解説
1987年9月に講談社ノベルズから刊行された『十角館の殺人』は、日本のミステリー界に新本格ブームを巻き起こしたと言われ、増刷に増刷を重ねる作品で、今後長く続いていく『館シリーズ』の第一作である。 建築家中村青司が火事で死去した半年後、青司が住んでいた島に大学の推理小説研究会の面々が降り立つ。それぞれ有名推理小説作家の名前で呼び合う7人は、青司の離れである十角館に一週間滞在することになっているのである。 どこからともなく表れたまるで殺人予告とも思えるような札に、7人はいたずらの犯人を探り合うが、その推理は外れ実際に殺人が起こってしまうのである。 一人ずつ仲間が消えていく連続殺人、迎えの船がなければ島から脱出することもできない状況で、研究会のメンバーたちはだれが犯人かと疑心暗鬼になっていく。 犯人は研究会のメンバーの中にいるのか、それもと中村青司の呪いなのか、はたまた青司は死んでいなかったのか。読み進めるにつれ犯人の姿が徐々に露わになってくるのである。
十角館の殺人の評価
十角館の殺人の感想
本格ミステリー
私が高校生の時に初めて読んだ綾辻行人作品です。それまで本格的なミステリー小説を読んだことがなかったのですが、この作品で一気にミステリーというジャンルにはまり込んでしまいました。館シリーズと呼ばれる綾辻行人の第1作目。十角館と呼ばれる不思議な館で起こる殺人事件が舞台になっています。話を進めるにしたがって、ワクワクしながら読めること間違いなしです。もちろん、ミステリーなので次々に殺人事件が起こります。人の死ぬ描写が苦手な方にはお薦めできませんが、それ以外の方にはぜひぜひ読んでみて頂きたいなと思います。次々に起こる事件、ゆっくりと張られていく伏線。最後は「そうか!」とスッキリ終われると思います。ただ、ちょっと犯人の動機が薄いかなと思うので、それがちょっとマイナス・・・かな。
新本格派始まりの作品
推理モノ、と一口に言っても、色々と種類がある。刑事を主人公とした刑事モノなのか、足で歩き回りときに襲う火の粉を振り払うためアクションをしたりするハードボイルドモノなのか、それとも普段の生活にある些細な謎を中心にした日常モノなのか。この作品は、どれでもない。推理小説と言って頭に思い浮かぶ古典的な『探偵は人々を集め、さてと言い』に近い。フーダニット(誰がやったのか)・ハウダニット(どうやってやったのか)を主軸としながら、探偵ではないけれど作者から『探偵役』を振られた登場人物の視点で話が進む、オーソドックスにして見事な推理小説である。この作品以降、『新本格派』という言葉が生まれた。本格というのはつまり、クリスティ、カー、クイーンなどの欧米の名手たちによる名作推理小説を指し、それとは違い日本の風土で日本人が読みやすいよう仕立て上げられた推理を主軸とする小説を書く作家のことを、新本格派と呼ぶよう...この感想を読む
犯人は...
「犯人はあなたの目の前にいます」そういわれても、わからない。誰が犯人なのかわからない。巧妙な作者のテクニック・トリックが仕掛けられている作品です。無人島に建てられた「十角形の館」で繰り広げられる犯行。その標的になったのは、その島に合宿にきていた学生たち。この作品の何より面白いのは、犯人が私の目の前にいたこと。この表現は正しくないかもしれませんが、実際に、この作品の最後を読んで感じました。私は「ミステリー」全面に押した作品はあまり読みませんが、この作品は「ミステリー」という枠組みでは収まりません。「大どんでん返し」これを経験したいなら読むべきです。
十角館の殺人の登場キャラクター
江南孝明
よみがな:かわみなみたかあき ニックネーム:コナン 性別:男 住まい:別府(実家) 所属:K**大学推理小説研究会 性格:非常に好奇心旺盛で行動的 特徴:細身で長身 癖:喫煙者 物語上での目的:ある日届いた手紙の謎を解く 愛車:赤いファミリア