十角館の殺人の感想一覧
綾辻 行人による小説「十角館の殺人」についての感想が6件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
本格ミステリー
私が高校生の時に初めて読んだ綾辻行人作品です。それまで本格的なミステリー小説を読んだことがなかったのですが、この作品で一気にミステリーというジャンルにはまり込んでしまいました。館シリーズと呼ばれる綾辻行人の第1作目。十角館と呼ばれる不思議な館で起こる殺人事件が舞台になっています。話を進めるにしたがって、ワクワクしながら読めること間違いなしです。もちろん、ミステリーなので次々に殺人事件が起こります。人の死ぬ描写が苦手な方にはお薦めできませんが、それ以外の方にはぜひぜひ読んでみて頂きたいなと思います。次々に起こる事件、ゆっくりと張られていく伏線。最後は「そうか!」とスッキリ終われると思います。ただ、ちょっと犯人の動機が薄いかなと思うので、それがちょっとマイナス・・・かな。
新本格派始まりの作品
推理モノ、と一口に言っても、色々と種類がある。刑事を主人公とした刑事モノなのか、足で歩き回りときに襲う火の粉を振り払うためアクションをしたりするハードボイルドモノなのか、それとも普段の生活にある些細な謎を中心にした日常モノなのか。この作品は、どれでもない。推理小説と言って頭に思い浮かぶ古典的な『探偵は人々を集め、さてと言い』に近い。フーダニット(誰がやったのか)・ハウダニット(どうやってやったのか)を主軸としながら、探偵ではないけれど作者から『探偵役』を振られた登場人物の視点で話が進む、オーソドックスにして見事な推理小説である。この作品以降、『新本格派』という言葉が生まれた。本格というのはつまり、クリスティ、カー、クイーンなどの欧米の名手たちによる名作推理小説を指し、それとは違い日本の風土で日本人が読みやすいよう仕立て上げられた推理を主軸とする小説を書く作家のことを、新本格派と呼ぶよう...この感想を読む
犯人は...
「犯人はあなたの目の前にいます」そういわれても、わからない。誰が犯人なのかわからない。巧妙な作者のテクニック・トリックが仕掛けられている作品です。無人島に建てられた「十角形の館」で繰り広げられる犯行。その標的になったのは、その島に合宿にきていた学生たち。この作品の何より面白いのは、犯人が私の目の前にいたこと。この表現は正しくないかもしれませんが、実際に、この作品の最後を読んで感じました。私は「ミステリー」全面に押した作品はあまり読みませんが、この作品は「ミステリー」という枠組みでは収まりません。「大どんでん返し」これを経験したいなら読むべきです。
古典的なミステリ小説のリバイバル
本作品は昔風の推理小説を好む人には一読の価値があると思います。テレビの二時間推理ドラマのように刑事が何時間もかけて聞き込みを重ね、地道に事件の解決を図るといった作風とは対極にあります。驚愕のトリックや意外性のある落ち、謎の連続殺人というように、いかにも「ミステリ」で連想される古典的な作風を踏襲したものです。作者がその種のミステリを目指したことは、登場人物に言わせている台詞からも推測できます。クリスティの名作の雰囲気を背景として、孤島に集まった大学のミステリ好きのサークルメンバー。一同は変人の建築家によって建てられた「十角館」という奇抜な建物に滞在しますが、その外界から孤立した状況の中で、次々に連続殺人が行われていきます。凄惨な連続殺人が展開する中で、探偵役となる人物含めてもう一つの日常的なストーリーが展開していき、最終的に驚愕を生む形で収束していきます。衝撃的なトリック、予想もつかない...この感想を読む
本格派ミステリー
最近では「Another」などで有名な綾辻行人のデビュー作品です。この作品の大ヒットの後「~館」シリーズは綾辻行人の代表てkなシリーズになります。内容はいわゆる本格派ミステリー作家といわれるだけあって、十角をうまく使ったトリックと、ミステリー小説らしい大どんでん返しが繰り広げられます。かと言って難解過ぎたり、冗長的な構成になっていないのできゅっと締まった内容の一冊に仕上げられていると思います。ありがちな隔絶された島に建てられた豪華な洋館という設定でありながら、斬新さを感じさせる当たりに綾辻行人の巧みさがあります。胸をはってミステリーの名作に入れてもいい作品のひとつだと思います。
新本格の申し子のデビュー作「十角館の殺人」
思えば私が新本格の虜になったのは綾辻行人のデビュー作「十角館の殺人」がきっかけでした。ラストのやられた!感のはんぱなさ。すっかり騙されてしまった仕掛けの上手さよ。今まで新本格物を読んだことのなかった私にとって衝撃的でした。これが新本格・・・なんというカタストロフィの快感。「十角館の殺人」の読後、すっかり新本格の虜になり、講談社ノベルズの新本格物を買いあさったのはいうまでもありません・・・。それからかれこれ15年以上が経過。綾辻先生、霧越邸もアナザーもとっても良かったです。しかしながら、それはそれ、これはこれ。館モノの新作、切実にお待ちしております!いまだに私はあなたの虜でございます。