類を見ないファンタジー作品「十二国記」 - 十二国記の感想

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類を見ないファンタジー作品「十二国記」

4.04.0
映像
3.0
ストーリー
4.5
キャラクター
3.5
声優
3.0
音楽
2.5

目次

類を見ない独特なファンタジー作品でストーリー設定が秀逸

この作品の第1の素晴らしいポイントは、他の作品に類を見ない独特な設定とストーリーである。

この作品は、良くある異世界に突然飛ばされ、使命を受け目的に向かって行動する。という大きいところは同じであるが、鑑賞していくと類を見ない独特な設定で引きこまれてしまう。

この世界の舞台は、古代中国のような雰囲気である。そこに12の国があり、12人の王が神獣麒麟に天意に従って選ばれた王によって統治されている。王は正しく統治することで、王をはじめ主要な官は不老長寿となる。そして、王が国の統治を誤れば神獣麒麟が病を犯し王が死に、新しい麒麟が生まれ、新しく王が選ばれる。

当時この世界感を知った時、なんと理想郷のような設定なのかと思わず唸ってしまった。今までこのような設定はないし、正しい王が国を納めれば生涯国が続く、また王が正しく国を導くことができなければ天(神)が王を変えてしまうという天啓の色を強く出した素晴らしい制度設定に感銘を当時受けたことを覚えている。

そして主人公は、その世界から何かしらの理由で日本で生活し、自分がそういう国からきたと自覚なしに生きていた女子高生でが、突然、神獣麒麟にあなたが王で契約を結ばされる。しかし、その世界に移ってから外部工作より神獣麒麟と離れ離れになり、なぜこの世界にきたのか分からないまま生きるのに必死な日常がある。

アニメや小説では、こういった設定が最初から説明されることなく、主人公と同じ知識で王ってなに、なんで一人でぼろぼろになりながら命を狙われなくちゃならないの。日本に帰るにはどうしたら良いの、とミステリーとサスペンスが凝縮されていて、アニメが進むたびにどんどん引き込まれていく。素晴らしいの一言た。

主人公「陽子」の心情にリアリティがあって自分と重ねてしまう良策

この作品の対象は、高校生位かと思うし、実際自分も高校生の時代にこの作品に出会った。このため必要以上にこのアニメに引きこまれたのかもしれない。

この主人公「陽子」は、親の期待に応えようと「いい娘」を演じていて我慢して生活する生徒であった。この心情は当時の自分も多少はもっていた心情で冒頭から主人公と自分をかなね合わせてアニメを見てしまった。このちょっとした情報でリアリティと自分が感じていた違和感がそういうことかと感じてしまうのだから、今思えばうまくできたトリックだったと思う。

この冒頭の入りから主人公の気持ちになって作品に触れると感じ方が大きく変わると思う。主人公に自分を共感もなく自分を重ねあわせないと外部から見た観客になってしまい、一緒にドキドキしたりなどの反応がおちくことも多いが、この作品では自分はこのようなことは全くなった。

そして、主人公が、異世界に移ってから本当に辛いことしかない。

最初に助けてもらった人に騙され、役人に処刑されそうになったり、異世界(日本)からきたことが分かると「海客」ということで差別を受けひどい仕打ちをサれたりと苦労が続く。

そして、自分の心を移す剣により人間不信に陥り自分ひとりで生きようとし日本に変え帰ろうとするが倒れてしまう。そこで出会った半獣「楽俊」に介抱されるが、今までされてきた仕打ちなどの経験から、逆に楽俊を裏切ってしまう。

実際自分がこのような境遇にさらされたら、本当にそうなるのだろうなと感じてしまう。よく練られたストーリーだと本当に思うものである。

のちに楽俊を裏切ってしまうことに葛藤することになるが、一つ一つ困難にぶつかり、落ちるところまで落ち、自分を見つけ壁を超え成長していくことが綺麗事だけでまとめることなく素晴らしい具合に描かれている。

非常におすすめな作品であるため、あまり有名なアニメ作品ではないが知ってもらいたいものである。

小説から始まった作品で3作がアニメ化された

1991年に刊行された小説が原作で2002年にNHKでアニメ化された作品である。

小説は、アニメの3作品を含め10作品が出版されている。舞台は共通の古代中国で王と麒麟の関係になっており、主人公(目線)が変わることで、麒麟の苦悩、王の苦悩、突然異世界に飛ばされて突然王になる苦悩など練られたストーリーであると思う。

アニメがきっかけで鑑賞し終わった後に、すべての小説を買い読みふけってしまった。小説の3つのストーリーがアニメ化されており、世界設定を基準に見る目線(主人公)を変えることで、いろいろな見方が出来ることがわかり、物事の解釈は見る方向から変わるものだと学んだことも懐かしい。

特におすすめなのは、2作目の「風の海 迷宮の岸」で麒麟の成長と王の選定するまで、そして王とともに国を治めるストーリーが大好きである。麒麟も通常の人間と同じで意思もあるし遊ぶしいたずらもする普通の人間の感情をもっている。しかし麒麟として王を選ぶという使命があり、麒麟が選ばない限り王は見つからず、そして国もどんどん衰退してしまう。王の選定を間違えれば、とプレシャーを感じるなど良かった。

NHKは良作が多いが、この作品は個人的には非常におすすめの作品である。

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