森見登美彦と南方熊楠
森見登美彦と言えば「京都」ですが、今回は京都はでてきません。これだけでもけっこう不思議です。
自堕落な大学生も、もちろん出てきません。主人公はなんと小学生のアオヤマ君。
冒頭の説明から、「おっアオヤマくんは賢いんだな」と思わせる文章がさく裂しているのですが、特に注目したいのは、アオヤマ君が『ミナカタクマグス』を知っている点です。
片仮名で表記されているため、ふっと見落としがちですが、あの有名な『南方熊楠』です。アオヤマ君が優れていると例に出す人間は南方熊楠なのか、と衝撃を受けました。
学者さんや研究者さんなど、大学に携わる人にはメジャーな名前ですが、普通に生きているとあまり『南方熊楠』に出会う機会はそうありません。アオヤマ君が大学に忍び込む回(というとアオヤマ君は怒りそうですが)では、お父さんに遭遇していました。お父さんは大学に関わりのある人間です。おそらくアオヤマ君はお父さんからその名前を知ったのでしょう。
なぜそんなに『南方熊楠』に執着しているのかというと、あまり世間では有名になってはいないものの、日本の隠れた偉人だからです。隠れていて尚且つ、常人では無い『南方熊楠』に畏敬の念も払うアオヤマ君は、きっと素晴らしい人間になるのだろうな、としみじみ感じたのでした。
ぜひ皆さんもあわせて、ご確認ください。
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