旅猫リポートのあらすじ・作品解説
旅猫リポートとは、有川浩による小説作品。2011年より「週刊文春」で連載され、2012年に単行本が出版された。表紙イラストは「だれも知らない小さな国」などで知られる村上勉。 主人公・サトルは、幼少の頃から引っ越しを繰り返し、そのたびにさまざまな人に出会ってきた。30代になったサトルは、ペットの猫・ナナをどうしても手放さなくてはいけなくなる。大事な相棒であるナナの引き取り先を探すため、いままでの引っ越し先で出会って来た人々を訪ねていく、というストーリー。 もともと舞台化を前提に執筆された作品で、前作「ヒア・カムズ・サン」を舞台化した演劇集団キャラメルボックスとのコラボレーション作品2作目。2013年紀伊国屋サザンシアターで上演され、2014年にはNHK-FMでラジオドラマが放送された。 この作品で、有川は吉川英治文学新人賞、ブクログ大賞(小説部門)など、多くの文学賞を受賞。また、この作品を原作とする絵本も出版されている。
旅猫リポートの評価
旅猫リポートの感想
猫と人間の絆に涙です。
猫が苦手な自分がいつか猫を飼ってみたいと思ってしまった。猫好きの人にも、そうじゃない人にもお勧めしたい一冊。先入観ももたず、気楽に読み進めていったら、だんだん涙腺がゆるんできて涙がとまらなくなってしまいました。いろんな事があったのに悟がとっても明るく前向きでいい奴なのは、たくさん愛を感じられていたからでしょう。ナナと旅をしていく中で、さらに深まっていくナナと悟の絆。後半からは本当に涙腺崩壊です。自宅で一人でじっくり読んでもらいたい。舞台化を前提として書かれた本ということを後から知りました。CSでも最近放送されていたらしい!見たかったです・・
猫のものがたり
吾輩は猫である、とかの夏目漱石の小説にありますが、オマージュといってもいい?ぐらいの作品。主人公は猫。雄猫。とっても頭が良く、ちょっぴり斜に構えた野良の彼の視線は、面白い。猫好きの方には、なかなかおもしろく、あーこういうこと考えていそう!なんて思うことも多いのではないでしょうか。そしてもう一人の主人公、といってもいい、悟(人間)。この一匹と一人の旅が、様々な出会いと共につづられていきます。正直、最後は興醒めしてしまいました…たぶん、他のレビュアーだったり、他のレビューサイトでも、珍しい部類なのかもしれませんが。途中から展開が見え見えで、期待していた分、がっかりでした。お涙ちょうだい的な展開が見えるほど、冷めて行ってしまった感があります。
ラストに向けてジワジワと感動する物語。
大事な飼い猫を、とある事情で手放さなければならなくなった1人の男性。その猫の新しい飼い主を探す1人と1匹の旅の物語です。猫の目線で書かれているけれど猫の飼い主に対する思い、飼い主の猫に対する愛情が自然に伝わるステキな文章になっています。猫の飼い主候補は、男の昔の友達達。どういう出会いで、どんな出来事があってという男の人生が飼い猫候補達に会うたびに分かっていきます。ネコと飼い主候補のペット達とのやり取りも面白いです。人間からみたら吠えてるだけでも、こんな話をしてるんだな~と。数人の候補たちと会う旅なのですが最後に向けて、じっくりと静かにじわじわと感動できる、そんな1冊です。