妻と愛人が入れ替わる大正ロマン
世界で一番幸せな女と、世界で一番不幸な女岩井志麻子さんの書いた小説なのに、エロくもない、グロくもない、ましてやホラーでもない。異色の小説。だけれども、私はこの小説が志麻子さんの本の中で一番好きなのである。なぜならば、私が小説に一番に求めるものが現実味…リアリティーだからなのかもしれないわ。「天然」って言葉は今は「意識していないアホ」っていう解釈が正しいのかしら。それとも「アホ」は余計なのかしら。先を読まずに行動した結果がアホらしいことになってしまった…のは結果論で、それは「天然」じゃないのよ。明子はね、本当に親切で優しい女性なの。清子は見下されてたと思っていたのかもしれないけれども、私はそんなことはないのだと思うな。「見下す」って行為が世の中にあることさえ知らないほどに、ただただ幸せだったから。そして、人に親切にできる優しい自分が好きなのよね。誰にでもあるでしょう、そういうことって。そ...この感想を読む
3.53.5
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