ペンギン・ハイウェイの感想一覧
森見 登美彦による小説「ペンギン・ハイウェイ」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
森見登美彦と南方熊楠
森見登美彦と言えば「京都」ですが、今回は京都はでてきません。これだけでもけっこう不思議です。自堕落な大学生も、もちろん出てきません。主人公はなんと小学生のアオヤマ君。冒頭の説明から、「おっアオヤマくんは賢いんだな」と思わせる文章がさく裂しているのですが、特に注目したいのは、アオヤマ君が『ミナカタクマグス』を知っている点です。片仮名で表記されているため、ふっと見落としがちですが、あの有名な『南方熊楠』です。アオヤマ君が優れていると例に出す人間は南方熊楠なのか、と衝撃を受けました。学者さんや研究者さんなど、大学に携わる人にはメジャーな名前ですが、普通に生きているとあまり『南方熊楠』に出会う機会はそうありません。アオヤマ君が大学に忍び込む回(というとアオヤマ君は怒りそうですが)では、お父さんに遭遇していました。お父さんは大学に関わりのある人間です。おそらくアオヤマ君はお父さんからその名前を知...この感想を読む
日常の中のファンタジー
日本SF大賞受賞作ということで初めての森見さんの本を手にとりました。登場人物が全員、魅力的。透き通った水彩画のようなお話で、独特のほのぼのとした空気感を感じました。とっても賢い小学四年生のアオヤマくんが、未知との遭遇で成長していく物語。大人になったら宇宙飛行士になる予定であったり、とても賢いアオヤマくんだけれど、おっぱいのことをまじめに語ったりしてしまうところが子供らしくてかわいらしい。小学生の頃のきらきらした世界を思いださせてくれました。中盤からどんどん物語りにひきこまれラストは思わずほろリとさせられてしまいました。他の森見作品も読んでみたいです。
ませた子供もいいもんだ。
小学生ってこんな感じだっけって、まず自分を振り返っちゃったかな。主人公が実にませていて、でも出来る子で。考え方が大人なんだけど子供、子供なんだけど大人。もう一度、小学生をやりたくなるような感じ。不思議なお姉さんもキャラとして好き。勉強が出来て、いじめられている子供に読ませてあげたいな。きっと勇気をもらえるし、知識探求ってすばらしいって思える。自分を貫くってすごいことで、難しい。森見さんと言ったら、京都のイメージなんだけどそんなこともなく、小学校の高学年ならすんなり読めると思う。あと小学校のお子さんを持っている親御さんには、ぜひオススメしたい一冊です。
自分の幼い頃で比べてました
森見 登美彦と言えば、京都ですが、この作品は京都ではありません。学生も出て来ませんが、歯科医のお姉さんは登場します。設定は違いますが、森見ワールドに首までどっぷりと浸かれる作品です。本作品は、野生時代の連載だった作品をまとめて、加筆しhたものです。主人公の小学4年生の“ぼく”、アオヤマ君が、街にあらわれたペンギンの大群の謎を明かすべく行動を開始やしたボクの話です。私は、小学校のときは、いじめられっ子でした。自分も、ボクのように何度立ち向かおうとしたか。でも、結局は泣いてばかりでした。そんな、自分の小学校時代を懐かしく思い出しながら、森見ワールドを堪能できる作品です。