ソフィーの世界のあらすじ・作品解説
「ソフィーの世界」は、1991年に出版されたファンタジー小説である。 作者はノルウェーの高校教師ヨースタイン・ゴルデルで、14才の少女ソフィーがファンタジーの世界で哲学を学んでいくというストーリーになっている。原本はノルウェー語で書かれているが、各国語に翻訳され、全世界で2300万部以上売り上げたヒット作である。日本語版は、1995年にNHK放送出版協会から刊行されている。 西洋哲学の入門書として定評があり、ソクラテス・プラトン・アリストテレスからカント・ヘーゲルに至るまで、著名な哲学者の考え方が紹介されている。哲学とは、誰にでもわかるような言葉で説明されるべきであるという筆者の考え方により、14才の少女を主人公として、彼女に語りかけるようにして話が進んでいく形式をとっている。 1995年にNHK-FM放送でラジオ・ドラマとしても放送されており、1999年にはノルウェーで映画化され、日本でも公開されている。
ソフィーの世界の評価
ソフィーの世界の感想
今一度、読んでほしい
主人公と同じ歳に出会えた幸福私が初めてこの本を読んだのは、出版されてから数年後、中学生3年生の、ちょうど卒業式の前の頃でした。最初は書店で、この本の分厚さが目に留まり「こんなに分厚い本、売れないだろう。誰が読むんだ」と思いました。しかし、本の帯には世界的ベストセラーなことや、日本でもすでに数十万部が売れたと書いてありました。当時、中学生の私は、そんなにたくさんの人が読んでいるのなら、私もこの分厚さに挑戦してみなくては!と、購入を決めました。今思うと、内容がどうかよりも、思春期の大人に対する負けず嫌いさから読むことを決めた本でした。物語の主人公は当時の私と殆ど同じ14歳、ソフィーと同じように「私はだれなのか」、どこから来て、どこへ行くのかと考えました。それまでは作中のような悩みは、世界中で自分だけが悩んでいるような気分でいました。それに対する漠然とした不安感が、この作品のお陰で、よくある悩み...この感想を読む
1991年の視点とその批判
哲学入門としてこの本は哲学の入門本としておすすめされうる本です。ここでいう「哲学」とは西洋哲学のことであり、タレスから始まって、最後は国連で話を終えています。読み物として、あるいは西洋哲学入門としては優れていますが、話の終わり方には疑問符を付けざるを得ません。この小説がハイデガーの思索を追う手紙・哲学講義であるとして、ハイデガー問題(ハイデガーがナチスの後ろ盾になっていたこと)は言及されていません。そして最大の疑問符は欧米中心社会への疑問符の不在であり、対イスラムに対する考え方の不在です。国連が正しいで終える意味ソフィーが国連を応援しているシーンがありますね。これは作者がノルウェイ人=ヨーロッパ人ということもあって、当時の世界の秩序に疑問を思っていない証拠です。たとえば、作者が言うように本当に批判的な思考をすべきなのだと考えるのであれば、国連の常任理事国の話をすべきなのです。現在、アメリ...この感想を読む
厚いけど親しみやすい哲学の本
中学生の頃なので15年やそこら昔、NHKラジオ講座のテキストに広告が載ってて気になって、三千円とその頃では高額な買い物でしたが自分で買いました。読み進めるには若干の向き不向きのある話かもしれません…というか哲学のところで眠くなりがちだった当時の私。でも同年代の人の中でもちゃんと完読した人のほうがきっと多いだろうと思うので、今の年若い読者でも手にとって欲しいです。およそ哲学に縁のなさそうな若い女子の元に、哲学の講座が手紙で届きます。その女子、ソフィーはその講座を受け入れ、様々なことを見つめ直すのです。が、物語の後半になるとこの作品は、異なる側面を見せます。もうこの展開自体もある種、哲学的なように思えました。分厚くて大変かもしれませんが、親しみの持てる主人公に促されつつ是非そこまで読み進めて欲しいです。