今ここにある君以外、ほかの何者にもなれない自分を認めなくてはならない
樋口清太郎
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四畳半神話大系は2005年に太田出版より刊行された森見登美彦による小説である。2008年には韓国語版が図書出版ビチェから、2009年には繁体中国語版が時報文化から、2010年には簡体中国語版が上海人民出版社から刊行された。 この作品は京都を舞台にしていて、冴えない大学3回生である私が1回生のときに選んだサークルによって自分の大学生活をいかに変えていったのかを描く並行世界の物語である。それぞれ独立した4つの話で構成されていて、各話の書き出しが統一されているなど並行世界であることを前提に描かれている。 2010年の4月からフジテレビ『ノイタミナ』枠でテレビアニメ化された。森見登美彦にとって初の映像化作品であり監督の湯浅政明にとっても初の小説作品のアニメ化となった。このアニメは2010年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞し、2011年には東京国際アニメフェア、第10回東京アニメアワードでも最優作品賞を受賞している。
この小説は読み始めてまず思ったのが読みやすい!テンポ良く話が進んでいて、気が付くと森見さんのワールドにどっぷりやられました。引き込まれるような独自の表現・擬音表現「桃色~」や「ぽぅん」等もその魅力の一つ。何せキャラクター達は超が付くほど各々個性に満ち満ちているんです。主人公の「私」は大学生。あぁ、学園ものなのね。ぐらいに捉えているとえらいギャップといいますか、あまりにもハチャメチャでインパクトを静かに受けます!物静かで陰鬱そうな「私」であり、「黒髪の乙女」に恋する不毛な学生であり、「ゴキブリキューブ」を扱う。あんなエキサイティング尚且つクレイジー、謎のポテンシャルをもつ大学生、他になかなか見ません(笑)そして、この作品は同著者の『夜は短し歩けよ乙女』にもチラリチラリ登場人物が出ています。歯科にお勤めの「羽貫さん」とかね、こちらも四畳半神話大系と同じく作品の舞台は京都とあり、実在する鴨川デ...この感想を読む
森見さんの独特の文体と不思議な世界を堪能できるのは他の作品と同様ですが、構成が面白かったです。森見ワールドでよく見る冴えない大学生の男の子と、その友人と憧れの女の子。もちろん美少女。大学のサークルで4つのどれにしようかと迷うところから物語はスタートします。1章を読んで、森見ワールド堪能したけど続きってどうなるの?と思って2章を読むと・・・楽しいです!私は、この本を予備知識なしに読んだのですがそれが正解だった!と思うのであまり触れない方がいいと思うのですがこれだけは。各章を比べる楽しみがあります。最後までたどりつくとスッキリします。
この独特の小難しい文章が、次第に癖になること請け合いです。話の展開も、章を追うごとに吹き出すことになりました。これは詳しく説明される前に読んだ方が確実に楽しいのでここでは書かないほうがいいかも。うまくできてんなぁ…という感想を持ちました。冴えない男子大学生、その友人のどうしようもない男、そして美少女。真実は一体どこに。そして個人的には、修学旅行でベタなスポットしか行かなかった京都という街でしたが、本作を読むことで実際に歩き回って地元にしてしまったような錯覚を覚えました。いやほんとに行ったら着実に迷子になりますけど。恋愛小説なのかSFなのか、モラトリアム小説なのか、未だにわからないままです。全部…?
よみがな:ひぐちせいたろう
樋口清太郎
主人公が自分を振り返り、あの時ああしていれば…という迷いを抜け出せずいる時に、人生の師匠としてかけた言葉
樋口清太郎
主人公である私の師匠の樋口師匠が私に向かって言った言葉
樋口清太郎
主人公が自分にはまだ可能性にあふれかえっていると思っているときに支障が放った言葉