蛇にピアスのあらすじ・作品解説
蛇にピアスは日本の女性小説家、金原ひとみのデビュー作品の小説で、第27回すばる文学賞と第130回芥川龍之介賞を受賞した作品である。 主人公中沢ルイは蛇のように舌に二股の切れ目を入れている雨田和則、通称アマと出会ったことで身体改造に興味を持ち、自分の舌にピアスを入れ、アマと共に暮らすことから始まる物語である。シバの経営する施術店で背中にも刺青を入れる予定だったときに、アマと喧嘩した男が死亡するという事件が起き、そこからアマが失踪し、死体となって見つかり、ルイが真相をつきすすめていく形で物語はすすめられる。残虐的でありながらも、愛をテーマに描かれた作品である。 2004年12月、渡辺ペコによって漫画化された作品が集英社から発売され、2008年9月20日には蜷川幸雄監督によって作成された映画が公開された。主人公ルイを吉高由里子、アマを高良健吾が演じ、そのほかにARATA、あびる優、小栗旬、唐沢寿明、藤原竜也らが出演した。なお原作の描写が忠実に再現されていたためR-15指定映画となった。
蛇にピアスの評価
蛇にピアスの感想
トラウマ作品
芥川賞受賞作品もはや映画の印象の方が強いという人の方が多いのではないかと思いますが、私はこの小説を初めて手にしたのが中学三年の時で、幼さもあってか衝撃的でした。リアルタイムでその作品の迫力に圧倒され、世界観に飲み込まれ、作者の金原さんは一体どういう人生を歩んだら、こんなに残忍な描写が書けるのか、好奇心の次に恐怖が生まれたのを覚えています。グロテスクで、アンダーグラウンドで、じっくりと読むことはできませんでした。ほとんど速読で、内容は理解しているのだけれど、なるべく感情移入しないように気をつけました。高校生ともなれば受け止める許容も身についているだろうから読んでも差し支えないと思いますが、私は今でもラストにかけての暴力シーンは、言葉の一つ一つを丁寧に読むことができません。現代の芥川賞らしい作品だな、と今ではすばる新人賞、芥川賞と受賞しただけのクオリティーを理解できるまでになりました。スル...この感想を読む
卑猥
映画を見てから、この原作本を読みました。何が目的かって?「エロ」です。実際に、この原作本の内容も映画と同様に「エロ」要素が盛りだくさんでしたが、こちらは「卑猥」という言葉のほうが当てはまります。映画以上のリアリティを感じました。そして、ボクの日常とは遠い、異次元の世界も魅力的です。しかーし、唯一、舌へのピアッシングの描写は目を背けたくなるものがありました。内容を一言で言うと、淫乱女性が2人の男と同時進行で関係を持ちながら、身体改造やSM行為を及んで、弄んだり弄ばりたりと...って感じです。そして、こんなブットンダ世界でも文章が「流石」に上手く、かなり読みやすかったです。
ついていけない・・・
私は、耳にピアスを開ける事すら、怖くてできない人間なので、この話の中で最初に取り上げられる、スプリットタン(2つに分かれた舌)の話の時点で、すっかり怖くなってしまいました。でも、芥川賞受賞作品で、話題になってた小説なので、どこか良い所があるのでは…と期待したのです。やはり、こういう過激な内容は、若い著者だから書けたのかもしれませんが、途中で結末が見えてしまいます。そういう所は、もったいないなーと思いますけど、素直なオチ、とも言えましょう。主人公が病的すぎて、こういう子、いるだろうけど、ちゃんと病院に行くべきだなあ、とも思いました。架空の話である小説に、影響を受けやすい方は、読まない方がいいのでは。若い子や、心が繊細な方には、読むのが辛い話かもしれませんね。