それが偶然のすれ違いになるか、それとも運命の出逢いになるか、すべては己にかかっている。
パンツ総番長
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夜は短し歩けよ乙女は2005年9月より4回に渡り野生時代に掲載され、その後2006年11月に角川書店から発売された長編小説で、作者は森見登美彦である。第20回山本周五郎賞受賞、第137回直木賞候補、2007年本屋大賞第2位と話題になり高い評価を受ける。 京都だと思わせる土地を舞台とした話で、主人公である「先輩」が「黒髪の乙女」への恋心を現実離れした不可思議なエピソードを交えながら語るという小説である。 古い文書からの引用や漢字が多く使われた言い回しが多く、京都の町並みや風情を思わせるところが本作品の特徴である。また主役である二人の氏名が掲載されておらず神秘的な雰囲気を漂わせている部分も人気のうちの一つである。 小説出版後は漫画化と舞台化されており、また同じ作者の別の作品である四畳半神話大系というアニメに、は本作品を髣髴させるような人物が登場している。 タイトルは1915年に発表された歌謡曲である「ゴンドラの唄」から付けられた。
森見さんの文章は、初めての人には読みづらいかもしれないけれどこの語り口調じゃないと森見ワールドは成立しない、と思う。私も最初は面食らったけれど、読み進めてこの独特の世界にはまった頃には難なく読めるので問題なし。一人の少女に想いを寄せる先輩。頑張って少女の視界に入ろうとするけれど「先輩、奇遇ですねぇ」の一言で一蹴される先輩。先輩は少女に想いを伝えたいだけなのになんとも不思議な世界の不思議な人たちの不思議な出来事にどんどん振り回されていく。そして、それは少女も同じ。だけど、それを楽しんでいる少女を見ていると、こちらまで楽しくなる。なぜか、たまに読み返したくなって読んでみて前とは違った面白さを感じるという不思議な本です。
ステキで不思議な恋愛ファンタジー。小難しい文章、言葉に戸惑う反面、文章のリズムが軽快!ひとつひとつの言葉をかみ砕きながら読み進めました。綺麗な言葉の勉強になりました。ノスタルジックでロマンチック、そしてエキセントリックな世界。純粋無垢、自由奔放で天然な黒髪の乙女に恋する、先輩があくせく彼女との距離を縮めようと外堀を埋めていくのに、乙女が全く「奇遇」として取り合わず気づかない。先輩の失敗してしまう様がおもしろい反面、ちょっと同情してしまいました・・主人公2人を取り巻く名脇役達も総じて魅力的!おもしろかったー!とお気に入りの一冊になりました。また再読します。
森見 登美彦さんの名前を世に知らしめた一作。何とも言えない独特の表現は、ちょっと古臭い感じがあってはっきり言って読みづらかったんだけど、キャラクターにすごい個性があって、一人一人が人間くさく、魅力的。何度も読み返しながら引き込まれた感じ。読み返しながら読むので時間がかかったけどだんだんそれも慣れてくるので、最後は一気に読んじゃった。京都の街を知って読むときっともっと楽しいんだろうと思う。想像で京都の街が出来たので、いつかは、実際行って確かめたいなと。また、ちょっと置いて読み返すとまた違った面白さを感じる一冊じゃないかと思う。手元にずっと置いときたい一冊。
パンツ総番長
一度だけあった彼女を探すために、学園祭でゲリラ劇をおこなっているパンツ総番長。自分の力でその彼女を探し出してみせる、彼女との出会いを運命にしてみせるという熱い思いと決意が伝わってくる言葉。
黒髪の乙女
たとえば手近な人間のほっぺたへ、やむを得ず鉄拳をお見舞いする必要が生じた時、人は拳を堅く握りしめる。 その拳を、鉄拳たらしめるのはその親指、親指をほかの指でくるみ込むようにすることで招き猫の手のような愛らしさをたたえ、憎しみも込めようがなく、かくして暴力の連鎖は未然に防がれるのだ。
先輩
憧れの彼女への行く手を阻む友のズボンのベルトを引き抜き、ズボンがずり落ちる隙に彼女を追う。その際に行った主人公の言葉