面白きことは良きことなり!
下鴨総一郎
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小説レビュー数 3,368件
桓武天皇の御代、万葉の地をあとにして入来たる人々の造りあげたのが京都である------と、これはあくまで人間の見た歴史だ。狸に言わせれば、平家物語に出てきた武士、貴族、僧侶のうち、三分の一は狐で、三分の一は狸で、残り三分の一は狸が「一人二役」でこなしたのであるし、天狗に言わせれば、王城の地を覆う天界は、古来、彼らの縄張りであった------?!。森見登美彦の「有頂天家族」は、実に人を食った出だしの小説だ。京都には今も、人間と狸と天狗が「三つ巴」で暮らしているというのだ。いやあ、実に食えない、食えない。この作品は、あのジェントルでいけずで奇っ怪な「京都ホラ話」にして、時代を超えたラブ・コメディの傑作「夜は短し歩けよ乙女」で、人気が爆発した著者による長編小説だ。この作品でもまた、著者がテリトリーとする京都の街を舞台に、著者十八番の「偽電気ブラン」や「腐れ大学生」が登場し、怪しいキャラクターがぞろぞろ。な...この感想を読む
ファンタジーの匙加減この作品は、大抵の場合、ファンタジー作品ということになると思うのだが、ファンタジーという分類も、今となってはSF同様に大項目でしかなく、新しく好みの作品を見つけるのは至難の業だ。そうなると、好きな作家の作品をラインで読むことが必然的に増えるわけだが、森見作品は期待を裏切らない。ハイファンタジーも悪くはないが、私は森見作品のファンタジー加減が大好きだ。可愛いモフモフが活躍するとなればなおのことだ。ファンタジーの中のリアルネット上ではスマホで読むのに適したようなライトテイストなファンタジーがランキングを独占しているし、そういう作品も楽しいけれど、どちらかというと、誰かが死んでもすぐ生き返ったり、攻撃を受けても痛そうじゃなかったりする作品よりは、本作のように、荒唐無稽な設定のはずなのに、キャラクターの一人がスネただけでハラハラしたり、父狸が鍋にされてしまったという過去が、...この感想を読む
これ、面白い(笑) 狸VS人間VS天狗京都を舞台とした、狸と天狗と人間という不思議な組み合わせ人情味溢れるお話。狸と天狗だから人情味と言っていいかは別として、森見登美彦の独自のオタクじみた味のある文章から繰り広げられる、ほっこりとした面白ファンタジーです。毛玉達が発する「面白きことはよきことなり!」の言葉から様々なおかしな展開にストリーが発展していきます。スピード感もあり、落としどころ、しんみりする場面のバランスが絶妙にいい感じ。金曜クラブ、美しい弁天様、色ぼけ天狗とゆるゆるの狸たちが複雑にからみ合う人間模様?がなんだか懐かしいやら、肩の力が抜けるような「人生たいした問題なんてない」と思わせてくれる癒系作品。小説を読んだあとにアニメも見ましたが、イメージが具現化されてさらに面白かったです。続編が出ているので、次は愛らしい毛玉たちがどんな風に楽しませてくれるか期待しています。奇想天外のストリ...この感想を読む
よみがな:しもがもやさぶろう
よみがな:しもがもそういちろう
下鴨総一郎
主人公の死んだ父だが、まだ生きている時に自分の息子の次男の悩みを聞いていた。複雑な悩みだったがその悩みを父が解決すると言い、そのまま2人は悩みを忘れることにして、しこたま酒を呑んだ。その後すっかり酔っ払った2人は彼らのお気に入りの遊びをしながら次男に発した言葉。
下鴨矢三郎
主人公の兄の、様々な者の大小様々な悩みを適当に聞き流す有り様が、意外にも相談者に好評であると語る場面にて。 だから諦めろとも、頑張れともこの後の文章が続かないのが、押し付けがましくない。
下鴨矢三郎
初詣に来て、弁天に何を願うのかを問われ、主人公がひとりごちた言葉。