他人に負けるのは恥ずかしいことではないが、昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことだ。
アオヤマ君
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ペンギン・ハイウェイは2010年5月に角川書店から出版されたSF長編小説である。 著者である森見登美彦は、国立図書館員との兼業作家として執筆活動をしていた経験がある事でも知られており、人気長編、短編小説を数々送り出す他、コラム、エッセイストとしても活躍している。 本作品は非凡な才能を持ち、ノートに様々な研究記録を綴る小学4年生の少年が、住宅街にある日突然現れて堂々と歩き回るペンギン達がどこから現れ、どこへ行くのかを探るため、クラスメイトと共に小さな町の中を冒険する物語だ。少年の周りを取り囲む人々と、不思議な力を持つ歯科医院のお姉さんとの関わりから、少年は今まで知ることのなかった不思議な感情が自分に芽生えたことに気がつく。 2010年度には日本SF大賞を受賞、翌年の2011年には本屋大賞第3位、大学生協読書マラソンコンテスト大賞では優秀作品賞にも選ばれ、特に学生などの若者達から絶賛される作品となった。
森見登美彦と言えば「京都」ですが、今回は京都はでてきません。これだけでもけっこう不思議です。自堕落な大学生も、もちろん出てきません。主人公はなんと小学生のアオヤマ君。冒頭の説明から、「おっアオヤマくんは賢いんだな」と思わせる文章がさく裂しているのですが、特に注目したいのは、アオヤマ君が『ミナカタクマグス』を知っている点です。片仮名で表記されているため、ふっと見落としがちですが、あの有名な『南方熊楠』です。アオヤマ君が優れていると例に出す人間は南方熊楠なのか、と衝撃を受けました。学者さんや研究者さんなど、大学に携わる人にはメジャーな名前ですが、普通に生きているとあまり『南方熊楠』に出会う機会はそうありません。アオヤマ君が大学に忍び込む回(というとアオヤマ君は怒りそうですが)では、お父さんに遭遇していました。お父さんは大学に関わりのある人間です。おそらくアオヤマ君はお父さんからその名前を知...この感想を読む
日本SF大賞受賞作ということで初めての森見さんの本を手にとりました。登場人物が全員、魅力的。透き通った水彩画のようなお話で、独特のほのぼのとした空気感を感じました。とっても賢い小学四年生のアオヤマくんが、未知との遭遇で成長していく物語。大人になったら宇宙飛行士になる予定であったり、とても賢いアオヤマくんだけれど、おっぱいのことをまじめに語ったりしてしまうところが子供らしくてかわいらしい。小学生の頃のきらきらした世界を思いださせてくれました。中盤からどんどん物語りにひきこまれラストは思わずほろリとさせられてしまいました。他の森見作品も読んでみたいです。
小学生ってこんな感じだっけって、まず自分を振り返っちゃったかな。主人公が実にませていて、でも出来る子で。考え方が大人なんだけど子供、子供なんだけど大人。もう一度、小学生をやりたくなるような感じ。不思議なお姉さんもキャラとして好き。勉強が出来て、いじめられている子供に読ませてあげたいな。きっと勇気をもらえるし、知識探求ってすばらしいって思える。自分を貫くってすごいことで、難しい。森見さんと言ったら、京都のイメージなんだけどそんなこともなく、小学校の高学年ならすんなり読めると思う。あと小学校のお子さんを持っている親御さんには、ぜひオススメしたい一冊です。
よみがな:あおやまくん
アオヤマ君
物語の冒頭、アオヤマ君の自己紹介での一文