蜘蛛の糸・杜子春のあらすじ・作品解説
『蜘蛛の糸・杜子春』は、新潮文庫から1968年に発売された、小説家芥川龍之介の作品集である。2005年時点で出版社である新潮文庫のベストセラーランキング第27位にランクインしている。 本作には、1920年に「赤い鳥」に掲載された「杜子春伝」を原作とした没落した金持の息子が更生していく「杜子春」、1918年に「赤い鳥」に掲載された、地獄に落ちた罪人の話「蜘蛛の糸」といった表題作だけでなく、1919年に「赤い鳥」に掲載された主人公・髪長彦が神から与えられた3匹の犬と囚われた姫を助ける冒険に出る「犬と笛」、1919年に「新潮」に掲載された汽車の中を舞台にした「蜜柑」、1920年に「赤い鳥」に掲載された、魔術を習得しようとする主人公のエゴイズムを描く「魔術」、1922年に発表された少年の体験を綴った「トロツコ」などの計10作品の他、年譜や国文学者である三好行雄や吉田精一による解説なども収録されている。
蜘蛛の糸・杜子春の評価
蜘蛛の糸・杜子春の感想
名作から新たな発見を見つける!
巨匠・芥川龍之介の文学に触れる誰もが知っている芥川龍之介の名作「蜘蛛の糸」「杜子春」を含む短編集です。芥川龍之介の短編は、学校の教科書でも掲載されていました作品もあり、日本人にとって、馴染み深い作品ではないでしょうか?作品は、10作品掲載されていますが、その話一つ一つが、まったく違った色をなしているかのように、背景も視点も、雰囲気も独自の色を醸し出しています。一人の作者から、これだけの世界観が生み出される作品の素晴らしさを堪能して下さい。また、子供頃に読んでも、大人になってから再度読むことで、違う角度から作品の魅力を感じる事ができます。教訓めいたものが、残る物語ですが、再び読むことにより、人物の奥深さや、本当に大切な物、日々葛藤している弱い気持ちなど、生きていれば誰でも味わう、心の葛藤が描かれています。邪悪なものに立ち向かう心、また邪悪なものは外にも自分の内側にもある、という事を教えてく...この感想を読む
人を思いやる心
この本は、小学生のときに読み聞かせしてもらって、すごく心に残っていた本です。 蜘蛛の糸は、子どもながらに教訓と言うか学びがたくさんありました。 とはいっても、人のことを思って行動しなければいけないのだという積極的な感動ではなく、 自分のことばかり考えていると地獄に落ちる羽目になるという恐怖のほうが先立った気がします。 杜子春では、親を大切にしなければいけないんだと素直に感じましたが、なんというか蜘蛛の糸もそうでしたが、ちゃんとしないことへの罰が大きすぎてやはり怖かったです。 今って、どちらかというと子どもに刺激がなく、よいところに目を向けるという風潮なんですけど、 昔はこういう本のように、「こうしなかったら、えらい目に逢うよ!!」っていう教えのほうが強くて、 そういうショックなもののほうが、子どもって覚えているのだなあと今になって思います。 「良いことしましょう。」ではなく、「悪いこと...この感想を読む
傑作です
地獄におちて、苦しい思いをして、蜘蛛の糸にすがり他人を蹴落として、結局。という物語。蜘蛛の糸といえば、まとまるととても強度があります。蜘蛛といえば神様の遣い。うまく掛け合わされているとおもいます。主人公が蜘蛛を助けた一度だけの善行に思いとどまり、泥棒で悪人な地獄に落ちても仕方ない彼を救おうとした釈迦。助かりますたい一心で芽生えた他人を蹴落とそうとする気持ち。芥川の作品は読みづらいのが特徴だと捉えておりますが、メッセージ性が非常に高いです。読みにくさにアクが強いため、全体としては☆-0.5とさせていただきました。私が文学の世界に入った大きなきっかけでもある芥川の作品ですので、プッシュさせていただきます*