蜘蛛の糸・杜子春の感想一覧
芥川 龍之介による小説「蜘蛛の糸・杜子春」についての感想が5件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
名作から新たな発見を見つける!
巨匠・芥川龍之介の文学に触れる誰もが知っている芥川龍之介の名作「蜘蛛の糸」「杜子春」を含む短編集です。芥川龍之介の短編は、学校の教科書でも掲載されていました作品もあり、日本人にとって、馴染み深い作品ではないでしょうか?作品は、10作品掲載されていますが、その話一つ一つが、まったく違った色をなしているかのように、背景も視点も、雰囲気も独自の色を醸し出しています。一人の作者から、これだけの世界観が生み出される作品の素晴らしさを堪能して下さい。また、子供頃に読んでも、大人になってから再度読むことで、違う角度から作品の魅力を感じる事ができます。教訓めいたものが、残る物語ですが、再び読むことにより、人物の奥深さや、本当に大切な物、日々葛藤している弱い気持ちなど、生きていれば誰でも味わう、心の葛藤が描かれています。邪悪なものに立ち向かう心、また邪悪なものは外にも自分の内側にもある、という事を教えてく...この感想を読む
人を思いやる心
この本は、小学生のときに読み聞かせしてもらって、すごく心に残っていた本です。 蜘蛛の糸は、子どもながらに教訓と言うか学びがたくさんありました。 とはいっても、人のことを思って行動しなければいけないのだという積極的な感動ではなく、 自分のことばかり考えていると地獄に落ちる羽目になるという恐怖のほうが先立った気がします。 杜子春では、親を大切にしなければいけないんだと素直に感じましたが、なんというか蜘蛛の糸もそうでしたが、ちゃんとしないことへの罰が大きすぎてやはり怖かったです。 今って、どちらかというと子どもに刺激がなく、よいところに目を向けるという風潮なんですけど、 昔はこういう本のように、「こうしなかったら、えらい目に逢うよ!!」っていう教えのほうが強くて、 そういうショックなもののほうが、子どもって覚えているのだなあと今になって思います。 「良いことしましょう。」ではなく、「悪いこと...この感想を読む
傑作です
地獄におちて、苦しい思いをして、蜘蛛の糸にすがり他人を蹴落として、結局。という物語。蜘蛛の糸といえば、まとまるととても強度があります。蜘蛛といえば神様の遣い。うまく掛け合わされているとおもいます。主人公が蜘蛛を助けた一度だけの善行に思いとどまり、泥棒で悪人な地獄に落ちても仕方ない彼を救おうとした釈迦。助かりますたい一心で芽生えた他人を蹴落とそうとする気持ち。芥川の作品は読みづらいのが特徴だと捉えておりますが、メッセージ性が非常に高いです。読みにくさにアクが強いため、全体としては☆-0.5とさせていただきました。私が文学の世界に入った大きなきっかけでもある芥川の作品ですので、プッシュさせていただきます*
大好きな本
芥川龍之介の短編集。ファンタジーのなかに、人間の汚い部分や美しい部分を描いた作品が多い。蜘蛛の糸はとても有名だし、いろんな捉え方があるので何度読んでもおもしろい。私は、芥川龍之介が、気まぐれに人間を翻弄するお釈迦様を皮肉っているように感じる。極楽にいくために、悪いことは一切せず、がんばってきた人のところに、人を殺したり物を盗んだり放火したりしてきた罪人が蜘蛛一匹助けただけで、いけそうになるなんて、真面目に生きてる人に失礼じゃないかと思う。ほかの短編もとても面白い。学生時代から何回も読み返しているけど、何回読んでも飽きない。文章がきれいだ。
わんわん泣
仏教説話が多く収められています。有名なのは「蜘蛛の糸」です。地獄にたらされた一筋の蜘蛛の糸、それを必死で登ろうと他人を蹴落とす人々の姿を嘆く神様・・・さすが芥川龍之介といった見事な作品です。私がこの中で一番好きなのは「白」です。なんと熱い話なんでしょう。犬好きでもあるので、涙なしには読めませんでした。私だけかもしれませんが、本当に感動してしまいました。犬で罪と罰、そして許しを描くのはちょっと反則じゃないかとも思いますが、まんまとはまってしまいました。あと、「蜜柑」の美しい文章と、読み終えた後の静かな余韻が素晴らしいと思いました。これも感動して泣いてしまいました。涙もろくてまともなレビューになりませんでした。