沈黙のあらすじ/作品解説

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沈黙

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沈黙のあらすじ・作品解説

『沈黙』は17世紀のキリシタン禁制下にあった日本の長崎を舞台にした遠藤周作による史実に基づく歴史小説である。ポルトガルより来航した司祭フェレイラと日本人信者との交流、密かに布教活動をしていた司祭が遂には捕えられ、拷問に屈して棄教するに至るまでとその後が描かれる。古くから根付いた長崎におけるキリスト教信仰の歴史と厳しい時代に生きた人々の苦悩が浮き彫りにされる。 この作品は、遠藤が長崎を訪れた際、展示されていた踏絵についた「黒ずんだ指の痕」を目にしたことがきっかけとなった。「信仰を裏切った人の声」を遠藤はどう聴いたのか。信仰とは?愛と許しとは?作家自身もカトリック信者であり、「日本におけるキリスト教」というテーマを掘り下げた作品の一つである。 本作は1966年3月に新潮社より刊行。同年10月、第2回谷崎潤一郎賞受賞。以後世界13か国に翻訳され、映画化やオペラとしても上演されている。広く親しまれる「遠藤文学」の一作である。

沈黙の評価

総合評価
4.754.75
(2件)
文章力
4.754.75
ストーリー
4.754.75
キャラクター
4.504.50
設定
4.504.50
演出
4.754.75

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沈黙の感想

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キリシタン禁教と、それに伴う棄教や殉難の問題を、内面的に深く追求した、遠藤周作の第二回谷崎潤一郎賞受賞作「沈黙」

キリシタン禁教と、それに伴う棄教や殉難の問題を、内面的に深く追求した、遠藤周作の第二回谷崎潤一郎賞受賞作「沈黙」作家・遠藤周作は、キリシタン禁教と、それに伴う棄教や殉難の問題を、内面的に深く追求した「沈黙」を世に問いました。カトリック信者でフランス留学の体験を持つ遠藤周作にとって、神や罪の問題、あるいはキリスト教が日本の精神風土に根を下ろすことができるのかという問題は、遠藤文学の大きなテーマになっていますが、この「沈黙」は、徳川時代のキリシタン殉教史に材をとりながら、その問題を厳しく追及した問題作になっていると思います。キリスト教徒に対する迫害の結果、悲惨な処刑が相次ぐなかで、二十年間、布教を続けたフェレイラ教父も捕らえられ、拷問の末に棄教したという知らせがローマ教会にもたらされます。司祭たちのショックは大きく、教会の名誉のためにも、迫害下の日本へ潜行し、布教を行なう計画が立てられます...この感想を読む

5.05.0
  • dreamerdreamer
  • 38view
  • 1162文字
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日本におけるキリスト教信仰を問う物語

キリスト教宣教師が鎖国を始めていた日本に密航して捕まり、当時吹き荒れていてキリシタン弾圧の中で、キリスト教信仰そのものを問い詰めていく物語です。日本という東洋の国で、異質なキリスト教が果たして根付くことができるのか、過去のキリシタン信仰のあり方、宣教師自らが自分の抱いていたキリスト信仰への疑問などもひっくるめて向き合うことを迫られます。日本人キリシタンに過酷な弾圧が加わる中で保たれている神の沈黙。裏切り者の弟子であるキチジロー、信仰を捨てた仲間のフェレイラ神父……他の日本人信徒を救うためにも棄教するかどうかを迫られ、日本側の奉行の対話の中でも自身の信仰と向き合うことを迫られ、最終的に苦渋の決断を下します。本来のキリスト教信仰とも異なり、自身の信じるキリスト教徒のあり方に行き着いた主人公。日本人とキリスト教というテーマに関しても重いものを感じさせますが、話の構造自体はかなりドラマチックで...この感想を読む

4.54.5
  • yukigenoyukigeno
  • 115view
  • 425文字

沈黙の登場キャラクター

セバスチャン・ロドリゴ

沈黙の名言

主よ、あなたは何故、黙っておられるのです。あなたは何故いつも黙っておられるのですか。

セバスチャン・ロドリゴ

日本人クリスチャンが虐殺されていくのを見て、宣教師ロドリゴが嘆く。このような光景を見てもなお、神を擬人化していることからその存在を頑なに信じていることが伺われ、キリスト教を廃止しようとする日本との宗教観の違いが決定的となる1文である。

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