ドグラ・マグラのあらすじ・作品解説
「ドグラ・マグラ」は1935年1月に松柏館書店から刊行された夢野久作の代表作であり、日本三大奇書のひとつとして数えられる。構想と執筆に10年以上の歳月を費やして完成した作品であり、常軌を逸した物語の展開から「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常をきたす」と評されるほどである。 本作は、大正末期に九州帝国大学医学部精神病科に幽閉された記憶喪失中の若い男の物語だと思われる。骨格自体はシンプルであるが、筋立てが非常に突飛なものであるために、あらすじをまとめることも不可能である。 本作は1988年10月に松本俊夫監督によって映画化もされている。先述の通り、そのあまりに突飛な展開から映画化は無謀だと思われていたが、映画作品としての評価はおおむね高いものとなった。 また、イースト・プレスによって2008年に発行された「まんがで読破」シリーズにてコミカライズされており、小説よりも大変読みやすいとして注目を集めている。 2007年12月より、青空文庫にて無料で公開されている。
ドグラ・マグラの評価
ドグラ・マグラの感想
わからない、けどおもしろい
日本三大奇書のひとつである本作。一度は読んでみたいと思いつつ、手を出しては途中でリタイヤしてしまうことが、数回ありました。分量もそこそこありますが、とにかく読みにくい。理解するまでに時間がかかるといいましょうか、それでいて、読みやすい部分は読みやすいのが不思議な感覚です。暗闇の中を探検しているような気分になりながらも、今度こそはと思い立ち、最後まで読み終えました。わからないところが多く、読むのに時間がかかりますが、独特の雰囲気は、長く浸っていると心地よい、決して嫌なわからなさではないところが、この本の魅力です。また、2度3度と読み返していくうちに、どんどん深くハマっていくような気がします。もう一度読んでみたいです。
素晴らしい推理小説
本書は不思議な世界に入れますが、とても面白いです。探偵小説家夢野久作の代表作としては、その常軌を逸した作風から、一代の奇書として高く評価されているそうです。この本はまさに奇書中の奇書といえると思います。精神病院の一室から物語は始まる。一切の記憶をなくした若い男と微妙な対立を見せる二人の学者をメインに、精神病院の隣室にいる男の婚約者という美少女や精神科の患者、男の母と叔母が出てくる。ドグラ・マグラは堂堂巡りとか幻魔術を現す言葉として本文の中で解説されているが、脳髄の地獄とも形容される。そして話は遺伝子の中に祖先の記憶が宿りそれを胎児は夢に見る、という説からなぜか古代中国に飛んだりもする。
引き込まれていく不思議な世界
難解な作品としても有名な「ドグラ・マグラ」ですが、是非これは、電子本ではなく、普通の本で読んで欲しいです。ちょっとした工夫に、初めて読んだ時はドキッ!としました。主人公に感情移入しながら読み進めていくと、最終的に不思議な感覚におちいってしまうかもしれません。夢野久作の作品は、とてもテンポがよく、口語文なので読みやすいので、あまり本格的な小説を読まないような人でも、スラスラと読み進める事ができると思います。インパクトのある出だしから、次々に起こる展開に、どんどん引き込まれていきました。是非一度は、挑戦していただきたい作品だと思います。