新釈 走れメロス 他四篇の評価
新釈 走れメロス 他四篇の感想
Remixed by 森見登美彦
表題作『走れメロス』など、著名な作品を、森見登美彦が大胆にアレンジした作品集。もとの話を知らなくても問題なく読める。むしろ、もとの作品を知らないまま一読して、そのあと原作を読み、もう一度読める方が羨ましいかもしれない。文体はいつもの森見調だが、もともと氏の文体は現代風というよりは幾分時代がかっており、特に、明治期の文豪の作品との親和性はさすがとしか言い様がない。舞台が現代風にアレンジされ、登場人物も大学生になっているが、ベースはなぞっている。ぐいぐい読めてしまうリミックスに、思わず続篇を希望したくなる作品だ。ベースとなっている作品は、どれも押さえておきたい作品ばかりだが、教科書に載ってでもいないと、なかなか読む一歩が踏み出せないこともあるだろう。このような『新釈』から入るというのも、またひとつの手なのかもしれない。
名作のリメイク
走れメロスや、山月記など、著名な作品をリメイクしている短編集。もとの作品を知らなくても楽しめるぐらい、完成度が高い。しかし、もとの作品を知っていれば、なお、楽しめるだろう。だいたい、森見登美彦の作品は大学生が主人公である。この作品も、同じで、タイトルとなっている走れメロスも、大学生のちょっとシュールな友情話になっている。その他の作品も、大学生が主人公だ。文体は、個性的で森見登美彦の作品をはじめて読む人はなれるまでに、少し、時間がかかるだろう。でも、この独特の文体はとても美しく、面白く、魅力的で、気に入れば、どんどん読みすすめたくなってしまう。